2位を大きく引き離してトップに立ったのは鳥取県だ。濱岡教授が解説する。
「鳥取県では、陽性者1人を見つけるのに何人検査したかがわかる『陽性者に対する検査数』や、『人口あたりの確保病床数』が突出しています。手厚い検査体制をしいて、陽性者が少ない時期も検査を継続させたことで、早期に感染者を見つけ隔離・療養させていたことがわかります。これはニュージーランドや台湾などコロナ対策で成功した国と同様の対応です」
鳥取県の平井伸治知事は、全国で初めてクラスターを封じるための条例を作ったり、全国に先駆けて文化・芸術分野の活動や団体を支援したりと手腕が注目された。
鳥取県といえば人口が全国一少ない県。ランキングの上位は人口が少ない都府県が多いように見えるが……。
「10の指標のうち9つは、数値を人口で割ったり、変化率などにしたりして、人口の影響を直接受けないようにしています。実際、人口の多い宮城県は12位に、人口の少ない愛媛県(36)や高知県(37位)が下位になっています」
■“劇場型”に騙されず、数字で評価しよう
最下位になったのは吉村洋文知事率いる大阪府だ。
「感染者数と検査人数の動きが連動しており、流行したら検査をするという場当たり的な対応であることが、明らかになりました。病床数が不足していて、自宅療養者の割合も流行時に増加しました。宿泊施設の客室稼働率や、消費支出も大きく下がったままで、経済への影響も深刻です」
吉村知事は、うがい薬による根拠の乏しい感染予防策を推奨したり、コロナ禍の最中に「大阪都構想」の住民投票を実施したりと、その力量に疑問符が……。
ワースト2になったのは東京都。小池百合子知事は、東京五輪の開催にこだわるあまりコロナ対策で後れを取っている。
一方で、「ウィズコロナ東京かるた」を作成したり、広報CMに自ら出演したりするなど、パフォーマンスばかりが目立つ。
「都民は外出を控えたことで、『市民の協力』については、高い数値を示しましたが、感染者数、陽性率などを抑制できませんでした」
しかし、朝日新聞の世論調査(’20年12月30日)では、コロナ対応で評価の高い政治家として、1位に吉村知事、2位に小池知事という結果が出ている。
「テレビに多く登場している首長が頑張っているように思われてしまうのでしょう。しかし、コロナによる健康や経済への影響を見る限り、メディアを利用した劇場型の政策には意味がありません。感染症対策の基本である、検査を厚くして感染者を早めに見つけ出し、療養させてさらなる感染を防止する。そんな対策を着実に行った首長が率いる自治体が、ランキングでは上位になっています」
あなたの住む都道府県のコロナ対策は? パフォーマンスのまやかしに騙されないように、数字で評価してみよう。