自民党の女性局専用の宣伝カーが完成し、6月16日午後に、党本部でお披露目の納車式が行われた。この宣伝カーは、主に女性候補者が乗り込み、6月25日に告示される東京都議選を皮切りに、全国の選挙で使われるという。
二階俊博幹事長(82)の発案で導入が決まったという、宣伝カー。ワンボックスカーの後部左右が開閉式の大型ガラスサッシ窓に改造されている特別仕様だ。屋根に上がって、演説をすることもできる。
納車式で二階氏は、「女性も言うだけでは、だめなんです。この宣伝カーが遊んでいるようなことではだめなんです」と熱弁していた。
二階氏と言えば、今年2月、女性議員を党の幹部会議にオブザーバーとして参加してもらうことを役員連絡会などで提案。だが、その女性議員たちに発言権を認めない、「見学」であると発言したため、海外メディアからも批判を浴びていた。
さらに3月、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の“女性蔑視発言”に対し、「問題ない」という発言をしたために批判を呼んだこともある。
「そうした経緯もあって、二階さんは党所属の女性議員と意見交換の場を増やしたんです。意見交換が進んでいくうち、二階さんが女性局の宣伝カーを作ろうと党内で提案したそうですよ」(自民党関係者)
都議選に続き、衆院総選挙も控えている今年。いよいよ選挙モードに染まる自民党だが、ネット上には冷ややかな声が広がっている。
《いい年した大人が何をしているのでしょう》
《女性を下に見ている自民党。こんなもの預けられて、恥ずかしくないの》
《逆に差別? を助長している気がする》
こうした声とは裏腹に、自民党の女性議員は二階氏を持ち上げるばかりだ。納車式に出席した野田聖子幹事長代行(60)は、「幹事長自らの考えで、女性候補者、女性局のみんなに元気よく明るく活動してもらいたいという思いを込めて、この車を考えていただいた」と語っている。
世間ずれした二階氏のパフォーマンスに対して、党内から批判の声は上がらないのか。ある自民党幹部は皮肉交じりにこう話す。
「女性議員にしろ男性議員にしろ、二階さんは“財布”みたいなものです。通常、総裁に代わって党務を司る幹事長は、候補者の公認権はもちろん、党財政の責任者。党本部から出る選挙資金のほとんどは、二階さんの決裁が必要になる。
秋までには解散総選挙があるわけで、政治家は二階さんの機嫌を損ねるようなことはできるはずがありません」
有権者から選ばれた政治家が声を上げなければ、世間とズレ続ける二階氏を止めることはできそうにないのだがーー。