2015年、「京都の紅茶王」と呼ばれた実業家・福永兵蔵氏(2005年死去、享年101)の遺産をめぐる壮絶なバトルがワイドショーを賑わせたのを覚えているだろうか。
故・兵蔵氏は1930年に京都にイギリスの紅茶ブランド「リプトン」のティーショップを開き、日本に紅茶文化を広めた。67年には社名を「株式会社リプトン」から現在も続く「株式会社フクナガ」に変更し、とんかつチェーンなど飲食店事業を全国展開。株式会社フクナガは年商54億6,000万円(2019年実績)という規模になっている。
兵蔵氏は前妻と後妻の間に5人の子供がおり、さらに婚姻関係になかった女性との間に娘の城生真里さんをもうけ認知している。しかし、兵蔵氏の死後、兵蔵氏の後継者となった後妻の長男から真里さんのもとに一通の内容証明が届いたことを発端に泥沼の相続バトルが始まった。
届いたのは、真里さんの遺産相続分は「7万8,002円」であるという内容の文書だった。また、それ以外の権利が何もないことを認めないと裁判を起こすという債務不存在確認の文書も同封されていた。相続分があまりにも少ないため、真里さんはそれに応じず、前出・長男から2007年に債務不存在確認訴訟を起こされる。
一方で真里さんも、09年に長男らを相手取って遺産請求訴訟を起こす。翌年には京都地裁から3,000万円の和解案が出されたが不調に終わり、13年に約589万円の判決が出た際も真里さんはこれを不服として控訴。15年には大阪高裁で6,500万円の和解案が提示されたが、これも不調に終わり、係争は続いたという。
ここまでが一連の騒動としてニュースで大きく取り上げられたが、なぜかその後の結末がこれまで報じられないまま現在に至る。そこで真里さんに、事の顛末と騒動からの6年間に何があったかを振り返ってもらった。
「これまで結末が報じられていない一番の理由は、守秘義務があるからです。裁判は15年に終わりましたが、大阪高裁の裁判長から『外部に漏らさないように』と言われました。なので、最終的にいくら相続したかをお話しすることはできないのですが、結論から申し上げますと”経費倒れ”です」