「2回目接種から『8カ月以上』後に3回目接種を行う場合では、来年2月にピークとなる第6波が起こる可能性が示されました。あくまでシミュレーションですが、東京都だけでも1日の新規感染者が1万人を超え、かなりの数の犠牲者が発生する試算です」
そう語るのは、人間行動分析が専門の東京大学大学院の大澤幸生教授だ。
9月17日、厚生労働省は新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加(ブースター)接種を容認。2回目の接種から「8カ月以上」の間隔をあけることを軸に検討し、早ければ12月中にも医療従事者からブースター接種が始まる。一方、高齢者を含む一般の人の接種は年明け以降になる見込みだという。
気がかりなのは、新型コロナウイルスに対する血中の抗体の量(抗体価)が、思いのほか、早く減ることだ。
藤田医科大学で教職員209人を対象に行われた調査では、ファイザー社製ワクチンの2回目接種から3カ月後には、ピークの量の4分の1にまで抗体価が減少したことが明らかになっている。また、高齢者はそもそも抗体価が上がりにくいこともわかった。
大澤教授は、ワクチンの2回目接種から「6カ月後」と「8カ月後」にブースター接種するケースをシミュレーション。いずれのケースでも、東京都での1日の新規感染者数が第5波のピークである5,773人(8月13日時点)を大きく超える規模の第6波がくるという予測が出たという。
「このシミュレーションでは、従来の感染症の流行を予測する数理モデルをより複雑化しています。ワクチンを2回接種すると、血中に含まれる抗体価は1〜2週間でピークになりますが、その後は1日200分の1ずつ下がり、感染防止効果が低下していきます。医学的データも参照して、精度を高めました。シミュレーションによると今年12月から、ふたたび新規感染者が増え、来年には急増する可能性があります。一定の重症者が出ることも予想されます」(大澤教授)