■コロナ禍収束しても苦しみが続く可能性
また、中央大学人文科学研究所客員研究員で自殺予防教育などを専門としている高橋聡美さんは子育て世代の苦しみを指摘する。
「私がもともと遺児支援をしており、行政から相談があるのですが、今年の9月には、ママ世代が自殺したという相談が相次ぎました。子育てをしている場合、子育てサークルがコロナ禍でやっておらず一人で悩んでいる方がいたり。
また夫婦ともにテレワークの場合、家のなかでずっと一緒だとイライラが募り、妻が子供と一緒に外出させられて不満を持ったという話も聞きました。外に出ても喫茶店も開いておらず行くところがない。子供がいる女性たちが“助けて”と言える場所が少なかったことが問題のように感じます」
自殺や生きづらさをテーマに取材執筆活動をするジャーナリストの渋井哲也さんは、「もともと女性の自殺は、経済的要因よりも対人関係の影響によるもののほうが多い」と語る。
ただ、コロナ禍で女性の自殺が増えた原因は次のように分析する。
「やはり、経済的要因はあると思います。コロナの影響で、宿泊業、飲食業、娯楽業など女性が多く従事する産業で業績が下がり、失業、休業などが多くありましたから」
そしてもう一つ女性たちに影響を与えたのがやはりステイホーム。
「家族関係がよければいいのですが、もともと家庭内がうまくいっていなかった場合、ステイホームで密になり、過剰なストレスを抱えてしまう。実際にDV、虐待の相談件数は増えており、夫婦、親子関係のゆがみが見て取れます」
今後、コロナ禍が収束したら“死にたい”とまで思う女性たちの苦しみは軽減されるのだろうか。
「単純には言えないでしょうね。変化した生活パターンが完全に戻るわけではありませんから」
個々で気を付けられることは?
「自分のメンタルチェックをすること、ストレス解消の手段を見つけること、SOSを出せる対人関係をつくること。相談機関を見つけておくのもいいでしょう」
1人で抱え込まずに、あなたもつらいときは相談を――。
【相談窓口】
■日本いのちの電話連盟
電話番号:0570-783-556(ナビダイヤル/10時~22時)
電話番号:0120-783-556(フリーダイヤル/16時~21時、毎月10日は8時~翌8時)
■東京メンタルヘルス・スクエア
こころのほっとチャット(SNSを利用したチャット形式の無料相談)
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■高橋聡美研究室
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