「こんな事件になって、びっくりしていますよ。だって、恵美さんは今年9月に、コンバインに乗って、実家の田んぼの稲刈りを手伝っていたんですから」
恵美さんとは、12月8日に茨城県古河市内の介護老人保健施設「けやきの舎」で、70代の入所者男性を殺害した疑いで逮捕された、赤間恵美容疑者(35)のこと。冒頭の証言は、赤間容疑者の実家近くの住民のものだ。
彼女は、近所でも評判の“農家の娘”だった。
「恵美さんの実家は農業を営んでいます。彼女は3人きょうだいの長女で、夏にはかぼちゃの受粉を手伝い、畑のキャベツや大根の収穫を手伝っていました。
高校のころから、看護師を目指していたそうですが、学校は離れた場所にあったから、いつも暗いうちに家を出て、自転車で駅に向かっていましたよ。
その後、看護師になったと聞きましたが、自転車に乗って、前かごに長靴を入れ、麦わら帽子をかぶったエプロン姿で実家まで来ては、農作業を手伝っていました。挨拶はきちんとするし、とても愛想のいいコでしたよ」(前出・近所の住民)
そんな素朴な“農家の娘”が、犯したという凶行とは――。
「事件が発生したのは、2020年7月6日。入所者の男性を点滴中、チューブにシリンジ(注射筒)をつないで、致死量の空気を静脈内に注入し、空気塞栓症による急性循環不全を引き起こして死亡させた疑いで、赤間容疑者は逮捕されました」(捜査関係者)
実家近くの住民が話していたように、赤間容疑者は看護師の資格を持っていたが、「けやきの舎」では介護職員として採用されており、シリンジなどの医療器具は扱えない立場だった。昨年4月から介護職員として勤務し、研修中だったという。
「被害者が亡くなった当日に、赤間容疑者は不審な動きを同僚に問いただされ、終業時間前に退勤、そのまま自主退職していました。同施設には、ほかに不審な亡くなり方をした入所者がいて、今回の事件との関連性も含めて捜査が進んでいます」(県警担当記者)
以前は、栃木県と埼玉県にある病院で約3年間働いていた。前出・近所の住民はこう振り返る。
「2年ほど前に、実家で暮らしていたおばあさんが亡くなったのですが、それまで恵美さんは実家まで来て、面倒を長いこと見ていました。看護師でしたから、手慣れたものでしたよ。
その後彼女は、昨年の“いい夫婦の日”、11月22日に結婚しました。そのときは、集落のみんなでお祝いしたものです」