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「政府が布製マスクを全国民に配布するとしたことで、その後、マスクの製造、流通が回復し、今ではマスクの不足に対する心配は完全に払しょくされるなど、初期の目的は達成されました」

 

12月21日の記者会見で、こう語った岸田文雄首相(64)。安倍晋三元首相(67)の肝いりの政策として行われた、いわゆる“アベノマスク”政策。

 

全世帯と介護施設向けをあわせた約2億8,000万枚の布マスクの調達と配布に500億円超。さらに、余った約8,200万枚ぶんのマスクの保管費用に約6億円(2021年3月時点まで)、カビや虫などの混入が相次いだため行われた検品費用に約20億円と、まさに金食い虫と化しているアベノマスク。しかも、在庫のうち15%にあたる1,100万枚が不良品というおまけつきだ。

 

21日の会見で、希望者に配布したのち、ついに年度内に在庫を廃棄することを岸田首相は明言。だが、“恩人”安倍元首相をおもんばかってか、冒頭のようにアベノマスク配布の意義を強調することも忘れなかった。

 

■アベノマスク配布前にマスク輸入量は回復

 

いまも安倍氏の支持者らが根強く信じている“神話”が、「アベノマスクの配布によって市場のマスク不足が解消し、価格も下がった」というものだ。廃棄表明のニュースを受けて、こんなツイートが。

 

《アベノマスクは、コロナ禍でマスクが不足して、マスクの買い占めなどで価格が高騰しているときに無料でアベノマスクを配布することでマスクの価格破壊を起こして、マスク市場を安定化させたという意味で、抜群の成果があったと思います》
《世の中の人ってアベノマスクの有り難さを理解出来てないの?! あのおかげで不織布マスクの価格が元に戻って市場に戻ってきて、アルコール等の消毒薬も高騰を免れたんだよ。 大正解の政策を、なぜ感謝しないの?》

 

だが、政府統計を見ると、アベノマスクによって、マスクの供給量と価格が正常化したという主張には疑問符がつく。

 

もともと、日本で流通するマスクのおよそ77%は輸入品だった(2019年度、一般社団法人日本衛生材料工業連合会ホームページより)。昨年春に国内でマスク不足になったのは、新型コロナウイルスの世界的流行のために、世界中でマスク需要が高まった結果、マスクの輸入量が激減したことにある。

 

不織布マスクは、世界共通のHSコード(輸出入統計品目番号)で「6307.90 029」に分類される。財務省貿易統計によると、コロナ前の2019年の総輸入量は12万7,300トンで、中国産はおよそ85パーセント(10万8,724トン)を占めていた。だが、2020年2月には中国からの輸入量が激減し、全体の輸入量も前年比56%にまで落ち込んだ。しかし、3月には90%まで回復し、4月からは前年を大きく上回っている。

 

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出典元:

WEB女性自身

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