■自殺者も…後遺症で亡くなるリスクも
倦怠感やブレインフォグのような後遺症が出てしまった場合、どのように治療するのか。
「まず体に負担をかけたり、だるくなるようなことはしないこと。無理に体を動かしたり、体がつらいのに我慢しながら仕事をしたりする人がけっこう多い。こういうことをすると、後遺症は悪化します。体がだるくなるようなことは絶対にしない。これを守るだけで、悪化を防げます」(平畑院長)
治療でいちばん効果的だといわれているのが、耳鼻科で50年以上前から行われてきた“上咽頭擦過療法(Bスポット療法)”だ。
「鼻の奥の上咽頭に塩化亜鉛溶液をこすりつけて炎症部分を治す治療法です」(平畑院長)
とくに強い倦怠感やブレインフォグの場合、上咽頭にかなりひどい炎症が起きているそう。その部分をきれいにすると、自律神経が刺激されて、脳への血流を増やすことにつながるという。
もう一つは、米国の医療機関でも行われているステロイドを使用した治療法だ。
「“上咽頭擦過療法”だけでは完治しないケースがあり、その場合、私はステロイド剤(飲み薬や点滴)を使います。炎症を抑え、さらに自己抗体の産生による免疫反応を抑える効果があります」(山村部長)
そもそも、後遺症にならないためには何をすればいいのか。
「後遺症治療で取り入れているのが、“鼻うがい”です。味覚、嗅覚障害の患者さんの中には、鼻うがいを数回しただけで、症状が3割ぐらい回復した人もいます。鼻うがいで洗われる場所は、上咽頭擦過療法で治療する場所と同じ。毎日することで、コロナにかかりづらくなり、感染しても軽症で済むともいわれています。後遺症の予防にも、効果がある可能性が高いと思います」(平畑院長)
鼻うがい用のキットはドラッグストアなどで購入できるが、塩水でも効果があるという。その場合は、ぬるま湯に、水量に対し1~2%の塩を入れてよく混ぜよう。
現在、3回目のワクチン接種が行われているが、後遺症の予防効果はあるのだろうか。
「イスラエルの研究機関の論文によると、ワクチンを2回以上打っている人は、コロナに感染しても、後遺症が出る人が半分に減るというデータがあります。そもそもワクチンを接種することで、感染しづらくなります」(平畑院長)
最後に平畑院長はこう訴える。
「後遺症そのもので亡くなった方はいませんが、後遺症に苦しんで自殺をされた方は、私が把握しているだけで2人います。つまり、コロナの後遺症というのは、“死に至る病気”でもあるのです。オミクロン株を甘く考えないでほしいですね」
後遺症にならないためにも、感染対策を続けよう。