「結婚は生殖のため」国の主張に“同性婚映画祭の実行委員長”が反論
画像を見る 映画監督の東海林毅氏

 

■同性愛が「作品として消費されているだけ」という危惧

 

いっぽう「パートナーシップ制度があるので同性婚は必要ないのでは?」との声も聞こえてくる。しかし東海林氏は「パートナーシップ制度が広まるのは喜ばしいこと。でも、法律上の婚姻とは歴然とした差があるんです」という。

 

「自治体によって制度の内容が異なります。移住先にパートナーシップ制度がない場合もあり、非常に不安定なものなんです。また契約や医療、相続などが関係する場合には、“公正証書の取得”が必要になる場合もあります。パートーシップ制度はあくまでも通過点であり、ゴールではありません」

 

東海林氏は’95年、『第4回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭』で審査員特別賞を受賞。そして近年、ゲイ老人の性と苦悩を描いた『老ナルキソス』や日本で初めてトランスジェンダー女性の俳優オーディションを経て制作された『片袖の魚』といった作品が世界中で上映されている。

 

そんな彼は、国側が「同性婚は自然生殖する可能性がない。社会的に承認もされていない」と主張した際、Twitterに《これまでに同性愛者やトランスジェンダー、性的マイノリティの表象を作品で扱ってきた監督、脚本家、プロデューサー、演じてきた俳優たちも一緒に声をあげてくれないだろうか?って期待は捨てずに持ってるよ》とつづっていた。

 

「『どうして誰も声をあげないんだろう』とずっとモヤモヤしていました。1人のバイセクシャル男性として、そして1人の映画監督として……。

 

映画だけでなく、現在日本ではドラマでも漫画でも同性愛をテーマにした作品がいっぱいあります。これだけ作品が利益を生んだり、観る側も楽しんだりしているにも関わらず、当事者の権利の話になると、制作者も視聴者も“知らんぷり”しているように感じます。『現実を生きるセクシュアル・マイノリティに対して、もっと敬意を払ってほしい』と思うんです。今は、同性愛が“消費されて終わり”になっています」

 

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出典元:

WEB女性自身

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