■電気料金はさらなる値上げの可能性も
それでは、具体的に何がどれほど値上げされるのだろうか。特に石油や小麦など供給量の低下が見込まれる原材料と強く結びつくものは値上げ幅が大きくなりそうだ。
「電気代は原油や天然ガスなど燃料の値上がりがそのまま反映されます。ウクライナ戦争の影響として、6月ごろから、さらに価格が上昇するでしょう」
昨年来、値上げが続いている電気料金。じつは、4月分の電気料金が発表された時点で、北陸、関西、中国、四国、沖縄電力の5社がそれ以上の値上げができない「上限価格」に達している。
「上限価格の引き上げには、電力会社が経済産業省に要望する必要があります。今後も原油価格の高騰が続けば上限引き上げを要請する会社はでてくるでしょう」
本誌は3月の時点で上限に達していた北陸電力、関西電力、中国電力の3社に、今後の方針を取材。関西電力の回答は次のようなものだった。
「先行きの燃料価格の動向は不透明であり、足元の燃料価格の動向のみをもって電気料金の見直しを検討するものではないと考えていることから、現時点では検討しておりません」
他社もおおむね同様の回答であった。現時点では、電気料金は上限価格で高止まり。だが、今後も燃料価格の高騰が続けば、さらなる値上げの可能性があるのだ。
「また、航空料金は直近の原油価格の動向を反映して、4月にも燃油サーチャージの引き上げが行われるはずです。さらに、石油はカップ麺や弁当容器の包装、ごみ袋に不織布マスクなどプラスチック製品の原料。春から10~25%ほどの値上りが予測されます」
ロシアは天然ガスにおいても世界有数の輸出国であるため、ガス代の値上がりも予測される。
さらに、ウクライナとロシアは小麦やトウモロコシなど穀物の一大産地。これらの供給も減少する。
「小麦製品では、パンやパスタなどの値上げが相次いだばかりですが、春以降にも5~20%ほど値上がりするでしょう」
トウモロコシの高騰は飼料の高騰につながるため、肉類も値上げの可能性が。ただし、少し遅れて秋ごろからの値上げになるという。戦争の長期化によってウクライナでの農作業が困難になれば、値上がりの影響はより長期的なものになる可能性もある。
ロシア産の金属の供給減は、2月に値上げされたばかりのアルミホイルの価格を春からさらに5%ほど押し上げ、家電についても、当初夏ごろと予測されていた値上げ時期が6月まで早まる可能性がある。