■貯金を崩してまで繰り下げしなくていい
「そうはいっても、いちばん問題になるのは繰り下げ期間中の生活費をどう賄うのかです。年金を受け取るまでの期間、貯蓄を取り崩して生活するのは危険。年間の生活費に300万円かかる場合、老後資金が2,000万円あったとしても5年間で500万円にまで減ってしまいます。年金受給までの生活費を貯金で賄う人の場合、70歳時点で貯蓄が1,000万円を下回ってしまうなら、繰り下げず65歳から受給して。それでも年金を増やしたいなら、夫の年金は65歳からもらいながら、妻の年金をできる限り繰り下げるのがおすすめです。受給開始までの期間、妻の年金が受け取れない分は、夫婦で少し働いて補うのがベスト」
一般的に妻は夫よりも長生きする確率が高いが、年金額は少ない。
「夫の死亡後に妻が受け取る遺族厚生年金の額は、65歳時点の年金額を基に計算するため、夫の年金を繰り下げても、夫亡き後の妻の生活の支えにはなりません。妻の年金は元の金額が少ない分、繰り下げの恩恵も受けやすい。女性の長生き対策としても、妻の年金はできる限り繰り下げるのがおすすめです」
年金の繰り下げ受給を、シニア時代を豊かに過ごすための大きな武器にするかどうか、しっかり見極めたいものだ。
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