■8月に値上げに踏み切る企業が続出の可能性も
次いで原材料比率が高い食品には「カップ麺」「菓子類」「アイス」「乳酸菌飲料」など多くの品目があり、比率は25~30%。
「『3割』以内に収めるのが原材料比率の理想ですので、この『25~30%』がボリュームゾーン。発表分は6~7月に集中していますが、8月以降の値上げに踏み切る企業も多くなるでしょう。特に、すでに業界大手の『日清食品』が値上げを発表しているカップ麺については、競合他社の追随が相次ぐことも予想されます」
酒類では「ワイン」が20~25%、「ビール」「焼酎」で15~20%と、種類によって原材料比率に幅があるという。
「ワインの多くは海外産ぶどうを原材料としていますので、輸送コストの高騰などに加えて『円安』の影響も出てきたと考えられます」
これからおいしい季節になるビールだが、アサヒビールは10月1日出荷分から「スーパードライ」「クリアアサヒ」をはじめ162品目を店頭価格で6~10%値上げすることを発表。ビール業界でも他社の追随が続く可能性は十分にありそうだ。
ほかに原材料費率が低い品目として、「化粧品」(10%ほど)がある。
「宣伝費などの比率が高い化粧品業界でも、原材料費の高騰が著しいため、価格を見直さざるをえない企業が出てくると予想されます。 秋商戦の9月ごろからは、5%ほどの値上げは覚悟しておいたほうがいいでしょう」
原材料比率の低い品目は“値上げのサイクルが長く” “保存がきく商品”が多いのが特徴だと加谷さんは言う。
「そうした品目は、ある程度ストックしておくことを考えるのも、支出を抑える策の一つになります」
まだまだ終わりの見えない未曽有の値上げラッシュ。その波に賢く備えることが、家計が受けるダメージの軽減につながる。