「田口容疑者は競輪やパチンコなどギャンブルが好きだったという話が出てきています。また公開された容疑者の口座の入出金記録から、振り込まれた翌日には早速63万円を使ったことがわかっており、金遣いの荒さも明らかに。SNS上では“よりによってなぜこの人に振り込まれたんだ”との声が上がっています」(社会部記者)
山口県の阿武町が463世帯分の臨時特別給付金4630万円を誤って1世帯に振り込んだ問題で、5月18日、山口県警は田口翔容疑者(24)を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕した。
一部メディアによると23日には、田口容疑者が給付金を出金していた決済代行業者から、3500万円余りのお金が町の口座に返還されたという。
大騒動となっている今回の誤送金事件。同様の事例は日本各地で起きていると地方紙記者は言う。
「新型コロナウイルス感染拡大を受け、’20年に特別定額給付金10万円が配られた際、福島県天栄村では375世帯に総額1億1620万円を二重払いするミスがありました。天栄村は住民に謝罪し、すでに全額返金されているとのことです」
そのほかにも誤送金や二重払いは多数起きている。
「コロナ禍で生活支援のための給付金が増えたことで、誤送金も各地で発生したようです。そのほとんどは回収できていますが、総額2億2930万円の二重給付があった大阪府寝屋川市ではいまだ10世帯の約249万円が返金されていないとのことです。現在、裁判所へ支払督促申立てを行っているそうです」(前出・地方紙記者)
阿武町のように、誤って1人の人に多額のお金を振り込んでしまった事例も。
「大阪府摂津市では、’18年に住民税を過大還付してしまうミスがありました。それも1人の住民に対し1502万円。摂津市は1年半もの間ミスに気づかず、住民も自ら名乗り出ませんでしたが、市が問題を認知すると謝罪のうえで返還を求めました」(全国紙記者)
1502万円という大金が振り込まれていながら、呆れた沈黙を貫いていた摂津市の事例。回収は困難を極めているという。
「住民は『借金返済や株取引の損失補塡に充ててしまったので返済できない』と主張し、返金を拒否。摂津市は返金を求めて住民を提訴。’21年10月に裁判所は『悪意があった』と認定し、1502万円と利息を支払うよう住民に命じました」(前出・全国紙記者)
判決が出た後、無事に全額返金されたのだろうか。本誌は摂津市に問い合わせた。
「まだ返金には至っていませんが、代理人の方と返金に向けて手続きをしています」(市の担当者)
判決から半年以上、誤送金からは4年もたつにもかかわらず、いまだ回収されていない還付金。“天から降ってきた”多額の現金で惑わされないようにしたい。