■エネルギー高・円安で厳しくなった火力発電の経営
電力が不足している背景には、全国で火力発電所の廃止や休止が続いていることがあるという。2016年から2020年までの5年間だけで、原発10基分にあたる約1千万キロワットの発電量が、火力発電所の休廃止で失われている。
「火力発電所が“もうからない発電所”になったことが要因です。燃料となる石炭・石油・天然ガスの価格そのものが上昇したことと、さらに政府が行ってきた円安政策によって、燃料を輸入し、発電するためのコストが高騰したのです」(浜教授)
電力会社としてはコストの高騰分を電気料金に転嫁して回収したいところだが、利用者の負担が大きくなりすぎないように、燃料価格の上昇分を料金に上乗せできる上限は法令で定められている。
「その結果、火力発電の利益は少ないので、老朽化した発電所は休廃止されてしまう。また、新規発電所の増設や改修などの設備投資も行われにくい。こうして発電量が失われてきたのです。株価さえ高ければいいというアベノミクスにはじまる量的緩和で円安を推し進めてきたことが、このような事態を招いているのです」(浜教授)
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