「事件としての捜査が進展中なのでコメントは控えたいと思います。今後状況をしっかり見極めたいと思っております」
7月19日、こう答えたのは公明党の山口那津男代表(70)。安倍晋三元首相(享年67)が銃撃によって死亡した事件をめぐり、記者団から「政治と宗教」の関わりについて問われた。しかし、冒頭のように明確な立場を示さなかったため、物議を醸している。
報道によると、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)は、母親がある宗教団体に傾倒し、多額の献金をしたことで家庭崩壊を招いたと供述。’21年9月に安倍元首相がその団体へ寄せたビデオメッセージの動画を目にし、安倍元首相に対しても強い反感を抱いたという。この報道後、団体の名前として世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関わりが取り沙汰され、同連合は会見を開くことに。そして、会見で山上容疑者の母親が団体の会員であることを明かしていた。
安倍元首相に同連合との接点があると考えた山上容疑者は、「本当の敵ではないが仕方なく殺害対象に選んだ」といった趣旨の供述をしていると報じられている。
山上容疑者の供述が報じられた直後から、安倍元首相をはじめとする政治家と旧統一教会の関係をめぐる議論が各所で白熱している。それゆえ、宗教団体「創価学会」を支持母体とする公明党の見解にも注目が集まったようだ。
「創価学会の公式サイトでは、先日行われた参院選への支持依頼が公明党からあったことを明かしています。協議の上、コロナ禍での公明党の政策や姿勢を評価し、支持する旨を山口氏に通知したと記しています。’09年に同党の代表に就任した山口氏は、いわば“党の顔”です。世の関心事となっている『政治と宗教』の関係性について、どのように受け止めているかは誰もが注目するところでしょう」(全国紙記者)
だが、「政治と宗教の関係」について明言を避けた山口代表の態度に、ネット上では疑問視する声が相次いでいる。
《控えちゃダメでしょう。あなた、政治と宗教を語るべき1丁目一番地なんだから》
《政権与党にいる一方の責任者として、「コメントを控える」という言葉を発したのであれば、それは論外です》
《むしろ一番語らないといけない立場にいるのでは?公明党と創価学会の関係を政教分離を踏まえて見解を出してほしいと思う》
かねてよりカルト宗教の規制を訴えている“ひろゆき”こと西村博之氏(45)も19日にTwitterを更新し、山口代表がコメントを差し控えたことを伝える記事を添えてこう皮肉った。
《「カルト宗教は良くない」という日本の政治家であれば当然言うべき言葉が出てこない公明党の山口代表》
公明党の公式サイトでは、創価学会との関係を“政教一致”などと非難する意見に対して《全く的外れな批判》と明記している。
その上で、憲法に定められている「政教分離の原則」について、《憲法が規制対象としているのは、「国家権力」の側です。つまり、創価学会という支持団体(宗教法人)が公明党という政党を支援することは、なんら憲法違反になりません》との見解を示している。
10年以上にわたって公明党の“顔”を担っている山口代表。世間の問いに口を開くことはあるのだろうか。