「小和田恆氏の発言が、韓国メディアによって大きく取り上げられていることに、宮内庁内でも憂慮する声が上がっています」
そう語るのは宮内庁関係者。
雅子さまの実父・小和田恆氏は超エリート外交官としても知られている。外務省では事務次官にまで上り詰め、その後も国連大使や国際司法裁判所所長と要職を歴任した。
「小和田氏は’93年に日本と韓国の民間交流のためにスタートした『日韓フォーラム』の、日本側の初代議長も務めました。
そして今年8月25日に『第7回日韓フォーラム賞』を受賞。授賞式会場の演壇で演説を行ったのですが……」(全国紙政治部記者)
受賞や演説については日本メディアが全く報じていないにもかかわらず、『ハンギョレ新聞』『朝鮮日報』『中央日報』などの韓国メディアは大々的に報じたのだ。
たとえばハンギョレ新聞電子版の見出しは《「天皇の義父」元国際司法裁判所長「『慰安婦』、法的整理以上のことすべき」》となっている。
各メディアは小和田氏が“天皇の義父”であることを強調し、演説の一部を紹介している。
《「1965年の請求権協定ですべて済んだ問題だというのが日本の公式立場だった。しかし人間としてそれでよいのかという考えが離れなかった。人間と民族の関係は法律で整理されない」》(『中央日報電子版』9月1日付)
韓国メディアは“天皇の義父”が、慰安婦問題や徴用工問題について“日本が誠意をもって対応することが重要”という考えを持っている、と喧伝したのだ。
日韓問題に詳しい『コリア・レポート』編集長の辺真一さんは次のように語る。
「韓国には“日本のトップは天皇”とみなす人が少なくありません。小和田氏は、国際司法問題の専門家であり、それ以上に天皇陛下のお后である雅子さまのご尊父です。
韓国メディアからすれば、“天皇の義父が慰安婦問題について踏み込んだ発言をした”ということは極めてニュースバリューの高い出来事なのです。
『ハンギョレ新聞』と『朝鮮日報』は政治的スタンスが180度異なるメディアですが、その両紙が同じような扱いをしているのも珍しいことです。
“鬼の首を取った”という言い方が適切かはわかりませんが、韓国メディアが小和田氏の発言を“政治利用”したと解釈して間違いないでしょう」