■「バカヤロウ」と怒鳴る暴君ぶり…コンサルタントも苦言
その手腕のいっぽうで、渡辺社長はもともと“パワハラ体質”だったようだ。例えば、’18年10月に公開された『LEADERS online』のインタビュー記事で、「銀行員から船橋屋の社員になって驚いたことや、社長を引き継いだときに苦労されたことはありますか?」という質問にこう答えている。
「職人たちが、昔ながらの製法を護ってきてくれたことには、大いに感謝しています。ただし、彼らの行動には驚くことも多くて。『今日の仕事はもう終わったから』と、午後4時ぐらいから『酒盛り』です。
何か指導をする時は、論理的に説明するのではなく、『バカヤロウ』と怒鳴り、時には手が先に出る。日曜日は場外馬券場に競馬に行ってしまい、お店には誰もいなくなる。そういうことが起きないように、トップダウンで押さえつけるしかありませんでしたが、どんどん人は辞めてしまった。その度に新卒を入れて、自分の考えを理解してくれるような人材を増やしていきました」
社長就任当時について、「私は『自分のやり方が正しい』と信じていたし、『お前らはダメなんだ』としょっちゅう罵倒していて、周りから見たら『暴君』だったでしょうね」(「週刊エコノミストOnline」’20年5月11日)とも語っている渡辺社長。
船橋屋のコンサルタントを務める「株式会社アッシュ・マネジメント・コンサルティング」の小川晴寿氏は’20年3月、「週刊女性PRIME」の記事で当時の渡辺社長について「会議での高圧的な態度も引っ掛かりました」とコメント。
さらに小川氏は記事内で、「ベテラン女性店長が問いかけに反応できなかったのを例に挙げ、『あいつら何もできないでしょ』と専務室で言うので、私は『ひとつ申し上げてもいいですか。いい会社を作ろうと思うなら、社員に〈あんたら〉とか〈あいつら〉とか言うのはやめたほうがいいです』と忌憚(きたん)なく申し上げました」とも明かしている。
「渡辺社長は社長就任時の暴君ぶりを『パワハラ以外の何物でもない』と自身で語っていました。その後、改心したことで現在のような敏腕経営者になったといいます。しかし、今回の“逆ギレ恫喝動画”を見ると、“本当に変わったのか?”と疑う気持ちも出てしまいますよね」(前出・広告代理店関係者)
28日、船橋屋は渡辺社長から辞任の申し出があり、受理することを発表した。たった一度の逆ギレで社長の座まで失ってしまった。