■重症化しても病院たらい回しの懸念
「弱者へのシワ寄せが心配だ」と言うのは、訪問医療を行う水野クリニック(大阪府河内長野市)院長の水野宅郎さんだ。
「隔離が必要な2類相当のまま観察対象から外すと、隔離期間中は支援の手が入りにくいので障害を持っている方や生活保護を受けている方などに必要な支援が届かず、悲劇を招きかねません。4類型だけでなく、社会的弱者にも配慮する必要があると強く感じます」
都内の診療所や救急病院でコロナ対応にあたる医師の谷川智行さんは、自宅療養者の症状が急変したときの対応を懸念している。
「表向きは、各自治体で設置しているフォローアップセンターに連絡すれば、すみやかに必要な医療が受けられると説明されています。しかし、地域のどこの病院が受け入れるとか、患者の移動手段はどうするのかなど、現場の私たちは何も知らされていない。医療機関への丸投げが懸念され、そうなると患者さんは“たらい回し”に遭うのではないか」
記者が東京都の自宅療養サポートセンターに問い合わせたところ、自宅療養中にクリニックを受診したい場合は、案内された病院リストから自分で予約を取る必要があるとのこと。「緊急時は救急車を呼んでください」というが、過去の感染爆発時に救急車を呼んでも来ない、搬送先が見つからないという事態になったことは記憶に新しい。谷川さんはこう指摘する。
「医療ひっ迫を防ぐ最良の方法は、早期診断・早期治療をして、患者の容体を悪化させないこと。そして感染者数を抑制することです。だが、日本は当初からPCR検査を抑制するなど真逆の方針をとってきた。今回の見直しは、その流れを加速させるものです」(谷川さん)
ワクチンの接種が進むにつれ、死亡リスクは低下したと政府は言ってきたが……。コロナの死者数は4万4千678人(9月29日時点)、うち2万6千929人が岸田政権になってからの1年足らずに出たもの。未曽有の感染爆発が死者の急増を招いたのだ。岸田首相のコロナ対策の国民“丸投げ”政策を許してはならない。