アタッシュケースの札束チラつかせ…“五輪汚職キーマン”かつての剛腕ぶり
画像を見る 20年1月、東京五輪・パラリンピックの記者会見の席で言葉を交わす森元首相と青木被告(写真:共同通信)

 

■特捜がさらに広げていく「横」と「縦」の捜査

 

森氏の立件、および逮捕の可能性について、元東京地検特捜部の若狭勝弁護士は次のように話す。

 

「森氏クラスの超大物政治家となると、200万円程度での収賄罪適用は難しいでしょう。数千万円規模の金額で賄賂の明白な証拠が出れば逮捕の可能性もありますが、『見舞金』などの名目が付与されていれば、立件はそれだけ難しくなります」

 

高橋容疑者を、「プロスポーツビジネスで世界を渡り歩いてきた人物」と後藤さんは評する。

 

「’90年代にプロボクシング世界王者だったマイク・タイソンを日本に招聘するために、プロモーターのドン・キング氏にアタッシェケースの中の札束を見せて口説いたといいます。昔ながらの強引な手法でやってきた人ですが、コンプライアンス重視のご時世で『みなし公務員』の立場でそれをやったら特捜部が見逃すことはできないでしょう」

 

その高橋容疑者と深見和政容疑者への贈賄で、スポンサールートではAOKIとKADOKAWAから逮捕者が出ている。

 

大広とADKの2社はどうか。

 

「東京五輪は電通を専任代理店とする1社単独契約だったはずです。しかし、なぜか同業他社の大広とADKが協力代理店として参入。高橋容疑者らが賄賂の見返りに、協力代理店として仕事を発注するよう古巣の電通に押し込んだのではないかとみられています」

 

表では「アスリートファースト」「平和の祭典」とうたわれた五輪。その実態は不正にまみれていた。気になるのは、今後の事情聴取や大物逮捕に発展する可能性だ。前出の若狭弁護士はこう話す。

 

「特捜部はAOKIなどと並ぶスポンサー企業の『横』のルートの捜査を広げるでしょう。五輪オフィシャルサポーターだった駐車場サービス会社『パーク24』の存在が浮上しています。『横』の捜査でより多くの贈賄事実をつかみ、証拠を重ねていくことで、高橋容疑者の供述を引き出す狙いでしょう。そこで『縦』の捜査に及び、森さん、竹田さんらが関与していた決定的な証拠が出れば、特捜部の捜査は“金メダル級”です」

 

そんななかで日本は’30年冬季五輪を札幌に招致しようとしているが……。

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