交通網の発達、ライフスタイルの多様化によって、昨今叫ばれている“若者の車離れ”。自動車業界も頭を悩ませるなか、車離れに拍車をかける法案が浮上している。
10月26日、岸田文雄首相(65)の諮問機関である「政府税制調査会」が開いた総会で、自動車の走行距離に応じた課税、いわゆる“走行距離課税”などの検討を開始した。
「読売新聞」によると、総会では電気自動車(EV)の本格的な普及を見据え、自動車に関する税制などを議論。その際、出席した委員は「電動車が普及しても自動車関連諸税がこのままだと財源が十分確保できない。走行距離に応じた課税などを検討すべきだ」と指摘。
さらに、別の委員も「EVは政策的に普及させるために多額のお金がかかっている上、重いので道路への負担が大きい。エンジンがないからといって安い課税水準でいいのか疑問だ」と述べたという。
「現在ハイブリッド車の普及もあり、ガソリン税などの燃料課税は減収が続いています。今年度は3.2兆円で、’07年度と比較して約1兆円も減る見込みです。また、EV車はガソリン税のような燃料に対する課税がありません。そこで、走行距離課税によって財源を確保する狙いがあるとみられています」(全国紙記者)
「走行距離課税で税収を」という考えのいっぽうで、“若者の深刻な車離れ”が叫ばれて久しい。’21年度版の「運転免許統計」によれば10代、20代の運転免許保有者数は約1087万人。約1742万人だった’01年度版と比べると、20年間で実に655万人も減っているのだ。
またファブリカコミュニケーションズが今年8月に発表した調査結果によると、調査を行った300名のうち、車を持っている人は153名。そして「車を持っていない理由」でいちばん多かったのは「維持費が高い」で49.3%、次いで「購入費用が高い」が38.3%と続いたという。
経済的な理由で自動車を持たないと選択する人が相次ぐなか、走れば走るほど税金が課される走行距離課税が浮上――。ネットでは政府に対して、厳しい声がこう上がっている。
《若者の車離れとか言うくせに、車持ちにくい社会にしてるのは国》
《走行距離課税とか作るんなら絶対に“若者の車離れ“とか言うなよ、お前らが離しよるだけやけんな》
《マジで走行距離課税とか意味不明やん 若者の車離れとか散々言うくせに結局ああ言うことするから車に乗りたいと思う人が減っていくんでしょう》
11月2日、経団連の「モビリティ委員会」との懇談会で「モビリティは『新しい資本主義』の中軸とならねばならない分野だ」と話した岸田首相。ネットの声に対して、どう考えるだろうか?