■群衆の動きが止まったら危険
また、麻布消防署元署長で市民防災研究所の坂口隆夫さんはいう。
「イベント会場など屋内の施設でも、不慣れな運営だったり収容定員を守らないことがあると危険が。収容定員の何倍もの人が詰め込まれた会場でアクシデントが起こると、群衆雪崩につながるかも」
悲惨な事故に巻き込まれないための方策を坂口さんに聞いた。
【1】“異常”を早めにキャッチする
たとえば群衆の歩みが止まったり動いたりを繰り返す、前から来る人が見えているのによけられない、歩く先の状況が見えないなどの異常を察知したらすぐ逃げよう。
【2】狭い路地には入らない
広い通りから狭い路地に入ると、人が集中し急に密集状態になる。
【3】坂・階段・歩道橋・地下道は×
逃げ場のない場所には入らない。
【4】警備員のいない場所に行かない
規制のないところは、危険な状態に陥っていてもわからない。
【5】道路の端を歩く
道に面した店舗などに逃げ込んだり、壁をよじ登ることもできる。
【6】行きより帰りに注意
行きは徐々に人が集まるが、帰りは集中する。イベントの終了を待たず、早めに帰路につくのも◎。
密集の危険性を意識し、危険を感じたら早めに引き返す勇気が必要だ。
万が一、危険な状況になってしまったときは呼吸ができるように胸元を守ろう。人混みから逃げるときに、両腕を胸の真ん中に上げたボクサーのようなポーズをとると胸の前に空間ができ、押しつぶされそうになっても呼吸ができる可能性が上がる。
「過去の経験から(画像参照)、日本は警備態勢を構築してきました。しかし、命を守るためにも、万が一を想定するのは重要です。群衆雪崩が起きるような密集に巻き込まれては、逃げることは困難。少しでも危険そうなら、早めに脱出しましょう」(川口教授)
悲しい事故を教訓に、密集の危険性を察知して、命を守ろう。