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――2022年の日本を揺るがせた統一教会問題。山口広弁護士ら1980年代からこの問題を追及してきた第1世代に対し、1990年代からこの問題に携わってきた紀藤弁護士は第2世代にあたるという。

 

鈴木エイトさん(以下・鈴木):僕がこの問題にかかわり始めたのは2000年以降なので、第3世代ですね。先達の後を歩いている感じですが、それでも後をつけられたり、暴力も……。街頭勧誘は、信者が100人、200人に声をかけて、やっと1人を立ち止まらせることができるといった感じなんです。それを僕が阻止するのだから、向こうも憤って殴ってきたことも多々あります。暴行の現行犯で捕まえて警察官に引き渡していました。そういうこともあって、活動し始めたときに防刃ベストを買いました。

 

紀藤正樹弁護士(以下・紀藤):僕も防弾チョッキを持っています。合同結婚式が問題となった’90年代、アメリカに統一教会関係の仕事をしに行くことになって。向こうは銃社会ですから。事前に渡米日程を統一教会に知られていたこともあり、撃たれたら嫌だと、空港を出たときに着るように日本で買って持っていきました。

 

鈴木:講演会など、僕が行く場所が特定されているときなどは、特に気をつけています。教団内部から「鈴木エイトをなんとかしろ」とか、「(統一教会との関係を暴露された)萩生田(光一)自民党政調会長が鈴木某だけは許さないと言っていた」という情報がありましたから。

 

■脱会の報告がモチベーションに

 

紀藤:僕はテレビでコメントをするときも、「反人道的」という言葉をよく使うんですが、統一教会で行われていることは、人権問題を超えた、反人道性があると感じています。たとえば’90年代後半、世界宣教と称して、150カ国に信者が派遣されたんです。

 

鈴木:南米やアフリカなどにもですよね。

 

紀藤:子供もいるのに、お母さんだけが、いきなりアフリカなどに行かされることもあった。危険な地域では死んでしまったケースも発生しています。人間を駒だとしか思っていない統一教会の問題を是正させたい、その強い思いがあります。

 

鈴木:実際の被害者の声に勇気づけられることもあります。

 

紀藤:あるとき、「弁護士に相談すると死ぬ」と教団からさんざん脅されたおばあちゃんが、私のところに来たことがあります。“地下鉄で事故に遭うかもしれない”“道路で車にひかれるかもしれない”と。恐怖に耐えながら、相談に来た。ようやく事務所にたどり着き、僕の顔を見た瞬間に、安心して地面に伏して泣き崩れて……。

 

鈴木:そういったことが普通に起こるから、破壊的カルトと言われるんですね。人生が全て壊されてしまう。街頭での偽装勧誘では主に若い女性がターゲットにされますが、マインドコントロールされて、共同生活で朝から晩まで活動に従事させられる。本当にひどい。それでも何年か後に脱会したと報告を受けると、うれしいし、モチベーションになります。

 

【PROFILE】

 

紀藤正樹
リンク総合法律事務所所長。統一教会の合同結婚式や霊感商法など、カルト宗教や消費者問題を追及してきた。『カルト宗教』(アスコム)など著書多数

 

鈴木エイト
ジャーナリスト。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」主筆。近著に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)がある

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