■「YouTuberがピザを食べたという理由だけでクマを駆除したわけではない」
そこで本誌は24日、札幌市環境局に駆除されたクマとYouTuberが遭遇した関連性について担当者に話を聞いた(以下、カッコ内は担当者)。
――7月8日に駆除したクマは、YouTuberの動画でピザを食べていたクマと同一の個体ですか?
「確実に同一だと言い切ることはできませんが、5月上旬からその地区で目撃されていたのがその親子だったので、同じ個体だと考えるのが一般的だと考えます」
――山の中でピザを食す行為はルール、マナーとして適切だと考えますか? YouTuberの行為について、ご見解を教えてください。
「本人たちからはクマに餌付けをしようと思って動画撮影をしたわけではないと聞いております。最近は1人キャンプなどが流行っていることもあるので、YouTuberの行為を咎めるつもりはありません。ただ、もし、その場所にクマが出没していることを知った上で、その場所を狙って動画撮影したというのであれば、許されるべき行為ではないでしょう」
――駆除されたクマが箱わなにかかったことと、YouTuberの行為との関連性についてどうのように考えていますか?
「そもそもYouTuberがピザを食べたという理由だけで、クマを駆除したわけではありません。このクマは市街地に出てきていたクマなんですね。札幌市では『さっぽろヒグマ基本計画』に基づいて、クマは山の中で暮らし、人間とすみ分けをしていくという考えです。そのため、なるべくクマが市街地に出てこないような『ゾーニング』という方策を取っています。
ですが、どうしても市街地に出てきて市民に危険が及ぶような場合は、捕獲を基本とした対応を取る状況になっています。今回の場合は、住宅の庭に出没し、人間と目があっても逃げていかなかったり、果樹などの農作物に被害を及ぼしたり、小学校の真横に出没したりといったことを繰り返していたのです。
市としても草刈りなどでクマが出没しづらい状況を作ったり、離農された果樹園の木を土地の所有者の許可を得て伐採したり、様々な対策を講じてきました。このクマは人間側に寄ってくるような問題行動を起こしていたので、箱わなを仕掛けて捕獲した次第です」
――YouTuberにはどのように指導しましたか?
「クマが出るような場所での動画撮影の行為は危険だ、というお話をさせていただきました。YouTuberの方も今回の行為は反省されていました。また、北海道では条例で餌付け行為を禁止していますが、札幌市にはそういった条例はありません。北海道の条例に当てはまるようであれば何らかの処分は考えられますが、おそらく注意程度にとどまり、罰金を払うといったことはないかと思われます」