「大阪万博にかかる事業費が爆上がりして、大阪市民の負担額が、ひとり“10万円”になると報じられていますが、それならまだいいほうです。今後、地盤改良費などが積み上がれば、大阪府・市民の負担額は、大阪市民の負担はひとり40万〜50万円になるのではーー」
そう警鐘を鳴らすのは、在阪ジャーナリストで、『万博崩壊 どこが「身を切る改革」か!』(せせらぎ出版)の著者である西谷文和さんだ。
日本人を“破産”に追い込むリスクすら出てきた2025年開催予定の「大阪・関西万博」。
会場整備費は、当初の1,250億円から1.9倍の2,350億円に。また、これとは別に、政府出展の「日本館」の費用などが合計837億円かかることも先の国会で判明した。
しかし、これは氷山の一角にすぎなかった。
朝日新聞デジタル(12月19日付)は、「会場インフラ計8,390億円」と報じ、赤旗日曜版(12月17日付)も、大阪市民の負担が一人あたり10万円になるという衝撃の試算を発表したのだ。
しかし、この10万円をも上回る可能性があるわけだ。いったい、なぜこんなに膨れ上がるのか、西谷さんは、こう続ける。
「いちばん大きいのはインフラ整備費。なかでも問題なのが地盤改良費です。今、計上されているのは1,600億円ですが、まだまだ上振れする可能性があります。というのも万博が予定されている夢洲は軟弱地盤で、いわば“保育園の砂場”レベル。自国で建設する“タイプA”のパビリオンを建てる場合、台風で飛ばされてしまうと危険なので、しっかり杭を打つ必要があるんです。しかし、杭を打つと建設費が爆上がりしてしまう。建設が進んでいないのは、そうした事情もあるのです」
毎日新聞が12月21日付けで報じたところによると、タイプAを年内に着工する国はゼロ……。すでにメキシコなど数カ国が万博からの撤退を表明し、日本が提供する簡易的なプレハブのパビリオンに移行する国も多い。
さらに、次のような“便乗工事”も費用高騰の一因となっている。
「あらゆる工事が万博に紐付けられていて、香川県や広島県の高速道路も万博の名目で広げています。こんな状態ですから、日本国際博覧会協会(万博協会)も国土交通省も、万博の関連予算の全体像を正確に把握できていないんです」(西谷さん)
西谷さんが言うように、万博協会が2021年8月に発表した整備計画によると、“広域幹線道路の整備”として、なんと四国地方の道路整備まで含まれていた。
誰も出費の実像を把握できない万博。国民の生活をひっ迫する可能性があるだけに、開催の是非を今一度問わなくてはならないだろう。