2025年開催予定の「大阪・関西万博」。会場整備費は、当初の1,250億円から1.9倍の2,350億円に膨れ上がっている。
経済アナリストの森永卓郎さんは、「予算が膨れ上がっている根本には“カジノ”を含めたIR建設があることを忘れてはいけない」と改めて指摘する。
「万博は、維新がカジノを実現したいがために持ち出した隠れ蓑です。カジノのために、シャトルバスを通すためのトンネルとか、地下鉄の延長などまで含めた莫大なコストが大阪市民に大きく降りかかっているんです。でも、さすがにカジノのために負担してくださいとは言えないから、“万博”を利用しているだけです」
2030年秋頃の開業を目指して、整備計画が進むカジノを含めた大阪IR計画。反対の声も大きいが、そのための布石が“大阪万博”なのだ。
さらに、在阪ジャーナリストで、『万博崩壊 どこが「身を切る改革」か!』(せせらぎ出版)の著者である西谷文和さんは、予算が上振れし続ける大阪万博にこう警鐘を鳴らした。
「万博終了後、カジノを含むIRが開業すると、そのための地盤改良費などが積み上がり、巨額のインフラ整備がさらに必要になります。大阪府・市民の負担額はさらに爆上がり。そうなると、大阪市民の負担はひとり40万〜50万円になるのではーー」(西谷さん)
高い経済効果が見込めるなら、ここまでの負担増は回避できる可能性もあるだろう。吉村洋文知事はこれまで、民間のシンクタンクが試算に基づき〈万博の経済波及効果は約2,3〜2.8兆円〉と喧伝してきた。
「これはあり得ない数字。吉村知事は、来場者数は半年で約3,000万人と豪語していますがこれは東京ディズニーランドや大阪ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の1日あたりの来場者数約16万人の4倍にあたり、どう考えても現実的ではありません。
それに、USJに行く予定だった人が万博に行った場合、USJなら使うはずのホテル宿泊費など諸々を差し引くと、トータルの経済効果はマイナスになってしまう可能性もあります」
(西谷さん)
「おそらく来場者は半分以下でしょう。そうすると1,000億円単位の損失が出ますが、この赤字をどこが負担するのかという結論が出ていません。維新は、国が面倒を見ろという態度ですが、大阪府や大阪市も負担をせざるを得なくなるでしょうから、経済効果は半分以下になると思います。ただ、維新からすれば、関西圏の住民をカジノに引きずり込んで根こそぎお金を使わせれば、中長期的には利益が見込めると見込んでいるのでしょう」(森永さん)
大阪万博のために大金を負担させられ、さらにカジノで根こそぎ有り金をむしり取られることになるのだろうかーー。
どう転んでも、問題だらけの大阪万博。日本国民が破産しないためにも、勇気を持って「中止」の決断を視野に入れるべきだろう。