千葉県大量発生のキョン…「害獣=ジビエ」は日本の食料自給率アップの未来!?
画像を見る 食肉用に処理された鹿肉のスライス(写真:だる/PIXTA)

 

■害獣を栄養豊富な「ジビエ料理」に

 

山末さんが代表を務める日本ジビエアカデミーは、大分県宇佐市にあり、ジビエの処理の研修を行う日本初の施設として、23年5月にオープン。同社はジビエ処理加工場を『宇佐ジビエファクトリー』として運営し、オンラインショップでジビエ肉の販売もしている。

 

「ジビエとは、フランス語で、狩猟で捕獲された野生鳥獣を指します。ですので、クマ、イノシシ、シカ、キョン、ウサギ、スッポン、カモ、キジなどのことを指します。一般の家庭でも食することができるように流通しているのは、シカやイノシシが多いですね」

 

獣害への社会的関心や、人と自然界の持続可能性を考える風潮の高まりもあって、家庭でもジビエを試してみたいと思う人は増えているという。だが、猟師が捕獲した動物の肉など、どうやって入手するのか、どうやって調理するのか、ネットでも買えるのか……。まだわからないことも多い。

 

なにより、野生の動物は「臭いんじゃないか?」という先入観ももってしまいがちだ。

 

「たとえば、豚でいえば、『臭い』といわれるのはオスが出すホルモンですので、食用の豚は去勢されます。しかし天然のイノシシは去勢なんて当然されていませんから、繁殖期のオスは臭います。『ジビエは臭い』という先入観はそこから来ています」

 

今は技術も進み、加工処理の段階で選別をして、臭いのないものを食肉用にし、臭うものや人の食用に適さないものは、ペットフードやサファリパークの動物用にする。そのように、極力、仕分けして加工していくことで、『ジビエは臭い』という先入観を覆すジビエ肉を加工することに成功している。

 

カロリー、たんぱく質は、イノシシ肉は豚肉とほぼ同じくらいだが、ビタミンB12が豚肉の約3倍含まれているという。また、鹿赤肉は牛赤肉に比べてカロリーは半分以下、逆にたんぱく質は1.5倍くらい多く、鉄分も約2倍多く含まれるそう。

 

ジビエ肉のスペシャリストである山末さんに、おいしいジビエの食べ方を教えてもらうと、

 

「まず、イノシシの肉は『焼き肉』にして、よく火を通して、塩コショウだけの味付けがいいですね。豚とは違う食感で、特に脂身がおいしいです。イノシシの脂を味わえるのは、バラスライス。イノシシは山の天然のもの――ドングリやキノコをふだんから食べているので、肉のうまみ成分が違います。

 

そしてシカ肉は、薄く切って、火を軽く通します。こちらの味付けは、わさび醤油、もしくは西洋わさびで。鹿肉はロースがヘム鉄豊富です。体にダイレクトに吸収されます」

 

害獣が加工・調理することで、一気に栄養豊富なたんぱく源になるというのは驚きだ。

 

「ジビエ肉は、栄養があって、おいしく食べられる。そして命をつなぐことにもなる。しっかり食べるべきです。サステナブルの観点からもメリットがありますし、日本の食料自給率を上げる一助にもなります」

 

台湾では高級食材として知られるキョンも、千葉県で食肉として消費する動きもある。

 

ただし、特定外来生物であるため、撲滅を掲げる立場の千葉県としては商業的利用には慎重だ。

 

手に取りやすいジビエから、まずは、一度試してみてはどうだろうか。

出典元:

WEB女性自身

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