■所得が低い人ほど負担は重たく……
国民の負担増は「支援金」だけにとどまらない。
「2024年度から、市区町村や都道府県が森林を整備するための財源となる“森林環境税”が年額1千円徴収されます」(古賀さん)
さらに気がかりなのが、岸田首相が決定した“防衛費増額”の財源だ。2027年度までの5年間で、少なくとも総額43兆円が必要になる。岸田首相は14日の衆院予算委員会でも、「1兆円程度を国民の負担でお願いする」と、“増税”を示唆。
この財源は、どうなるのか。
「1兆円の財源については、いずれ消費増税などで賄われる可能性があります。しかし、昨年末に“裏金問題”が発覚したこともあって増税の議論が先延ばしされています」(伊藤さん)
現時点で決まっているのは、東日本大震災後に導入された“復興特別所得税”2.1%のうち1%を防衛費に充て、その分、徴収期間を最大13年間延長することだ。これにより年収500万円の世帯の場合、年間約1千円の負担増に。
そのうえ、改定されるごとに上がり続ける介護保険料も重くのしかかる。
「介護保険が始まった2000年当初、40~64歳の人が納める介護保険料は約2000円でしたが、毎年改定されて上がり続け、2024年度は1人あたりの平均が月6276円になる見込みです。65歳以上の方が納める保険料も、当初の2900円から現在は6000円超に。今後、高齢化が続くかぎり負担は増えていきます」(伊藤さん)
結果、2024年度からの40~64歳が納める保険料も前年度より年間2704円の負担増に。前述した支援金や、森林環境税、復興特別所得税などを合わせ、今後も介護保険料が同様のペースで上がっていった場合、2026年度以降の1人あたりの負担は、2023年度と比べて2万7776円も増えることになる。
伊藤さんは、「保険料の負担増ばかり目立つが、医療費の窓口負担や、介護サービスの利用料のアップも見逃せない」とこう続ける。
「後期高齢者の医療費の窓口負担は2022年度から年収200万円以上の単身世帯で2割に引き上げられました。介護サービスの利用料も、2027年度には同じ負担率になると予想されます」(伊藤さん)
さらに今年6月から、医療費の初診料が27円、再診料は12円(3割負担の場合)引き上げられる。
「ますます低所得者ほど医療や介護サービスが受けにくくなります。本来であれば、低所得者ほど比重が大きくなる保険料への上乗せや消費税ではなく、所得税や法人税などで賄うべきです」(伊藤さん)
一部の自民党議員たちに裏金を政治活動以外に使用していた“脱税疑惑”が出ているが、自民党はお手盛りの党内調査で幕引きをはかろうとしている。そんななかでの“増税”に、国民の怒りは爆発寸前だ。