■近隣住民は容疑者に「ずっと迷惑していた」
水田が広がる農地の一角に、青いトタンで囲まれた建物が二棟連なっている。「立入禁止」の札が掲げられた外観からは、動物を飼育する施設とは判別できない。だが、近づくと中から複数の犬の鳴き声が聞こえてきた。
「この建物の前を通ると、犬のか細い鳴き声がよく聞こえるんです。きっと十分なエサをもらえていないのでしょうね。以前は2棟のうちの小さいほうから、猫の鳴き声も聞こえていました」(近所の住人)
渡部容疑者は常に近寄りがたい雰囲気だったそうだ。
「経営者のほかに3~4人のスタッフが出入りしていたようです。あいさつをするでもなく、近所では、犬をたくさん飼っている人たちという見方をしていました」(前出・近所の住人)
施設が立っている土地は、もとは農業用地だったという。
「きちんと下水の整備がされていない建物だから、動物の糞尿は農業用の水路に垂れ流し。地元ではみんな迷惑していて、ずっと前からやめさせるよう役場にも申し入れをしていたんです」(農家の男性)
こうした近隣住民とのトラブルも絶えなかったようだ。この男性が続ける。
「ようやく摘発されてよかったというのが本音です。被害に遭った動物も、実際は3頭どころの話ではないですから……」
施設周辺では、動物の死骸が頻繁に目撃されていたというのだ。
「草むらに平気で遺棄していたようで、その数は数百頭にのぼるのではないでしょうか。動物たちがかわいそうでなりません」(前出・農家の男性)
20年におよんだ“暴虐”の日々。県警は、動物虐待の疑いもあると見て、渡部容疑者の調べを進めている。
関連カテゴリー: