パワハラなどの疑惑を告発され、各方面から辞職要求が相次いでいる斎藤元彦兵庫県知事(46)。改めて、当初の対応の“パワハラ”ぶりに注目が集まっている。
ことの発端は今年3月12日、兵庫県の元西播磨県民局長だった男性が知事らのパワハラ疑惑などを告発したこと。
すると3月27日、同月末で退職の予定だった男性職員に対して“退職保留処分”が下された。同日行われた会見で、斎藤知事はこの人事について「県民局長としてふさわしくない行為をしたということ。そして本人もそのことを認めているということなので、本日付で県民局長の職を解かしていただくということにしました」と語った。さらに、告発した男性職員について「不満があるからと言って、業務時間中に“嘘八百”含めて、文書を作って流す行為は公務員失格です」と厳しい言葉で糾弾した。
県は5月7日には内部調査の結果を発表。告発文は“事実無根”だとして、男性職員は「停職3カ月」の懲戒処分に。たが、5月15日に公表された丸尾牧兵庫県議員(無所属)が県職員を対象に独自に行なったアンケートでは斎藤知事のパワハラに関する証言が寄せられていた。
その後6月にはパワハラ疑惑などを調査する百条委員会の設置が決定。告発者の男性職員も証人として出席する予定だったが、7月7日に同県姫路市の空き家だった生家で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられていて、「死をもって抗議する」という趣旨のメッセージとともに、百条委員会で発言する内容をまとめた陳述書と、知事が出張先の首長に「また折をみて、よろしくお願いします」とワインを要求したとみられる音声データを残していた。
職員による告発を、公の場で”嘘八百””公務員失格”と糾弾した斎藤知事。7月10日の会見では「嘘八百という発言が強い言い方だったと、そこは反省しなきゃいけないという点はあります」と反省する様子を見せたものの、世間の不信感は拭えないようだ。X上では改めて、当初の振る舞いこそが、“パワハラ”だと非難を呼んでいる。
《内部告発者を「嘘八百、公務員失格」と切捨てた斎藤知事と側近こそ「公務員失格」》
《「嘘八百」と詳しく調べないうちから処分したことが最大のパワハラ》
《内部告発に「嘘八百」と言って断罪するのは、パワハラです。これ以上のパワハラは無い》
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(55)は、7月17日にXを更新。同日の『旬感LIVE とれたてっ!』(関西テレビ)での自身の発言をまとめたネットニュースを引用し、斎藤知事について《事実解明は必要。その範囲で斎藤さんは知事職を全うすべきで、県政を立て直すのは斎藤さんの仕事ではない》と指摘。
さらに《嘘八百と特定の部下を公で罵り、知事職を辞めるべき程度の事実かどうかは別として、少なくとも告発は嘘八百ではなかった。そして罵られた職員が自死した。自死との法的因果関係は別として、いきなり公で部下を嘘八百と罵り、関連して職員が自死したならトップは辞めるべき》と自身の考えを述べた。
その上で《辞職すべきパワハラやおねだりの事実がなくとも、嘘八百発言は辞職に値する。とりあえず事実解明までは陣頭指揮を執るが、調査結果が出た時点で辞職すると宣言すべき。事実解明が優先なのではなく、事実解明までは自分の責任でやるという話》と、告発者を誹謗中傷した挙句、懲戒処分まで下し、結果として自死に至った時点で、知事は責任を取るべきであると主張した。
7月18日にも、改めて辞職を否定した斎藤知事。果たしてどのように責任を取るのかーー。