パワハラ告発の職員が自死…「背景に斎藤知事の公益通報者保護法違反」弁護士が解説
画像を見る 8月2日、涙目で記者の質問に答える斎藤知事(写真:時事通信)

 

■外部通報は公益通常に該当しない――斎藤知事の認識は誤り

 

さらに3月27日、斎藤知事は会見で、告発文の内容を「嘘八百」と決めつけ県民局長の職を“解任”してしまう。

 

「パソコンを押収してから、わずか2日で解任ですから、告発文の内容について調査できなかったはずです。

 

事実かどうか調査しないまま処分を下したことは問題ですし、“被通報者”の斎藤知事や片山前副知事らが自ら処分を決定してしまったことも大きな問題です」

 

そもそも、斎藤知事や片山前副知事は、公益通報者保護法について理解していたのかーー。

 

マスコミ等への“外部通報”は、公益通報として認められているにもかかわらず、斎藤知事は4月2日の定例会見で、「兵庫県に公益通報制度というものがあるんですけど、そこでは受理していないということなので公益通報に該当しない」と発言しているのだ。

 

「あきらかに事実ではないことを通報した場合は、公益通報に該当しないケースもあります。しかし、4月2日の時点では、真実か否かはっきりしていない段階だったので、この時点では公益通報者保護法が規定している“外部通報”にあたります。つまり、斎藤知事の認識は誤りだったのです」

 

このままでは「斎藤知事らに握り潰される」と危機感を覚えたYさんは、4月4日に兵庫県の“内部告発委員会”に、改めて正式に通報。

 

「通常は、組織の中にある機関に“内部通報”したけれど握りつぶされた、と。それで仕方なく、マスコミなどに“外部通報”するというケースが多い。

 

しかし、Yさんは最初に内部通報しても“もみ消される”と思ったんでしょうね。だから最初に外部通報したのでしょう。当時、前・片山副知事は、兵庫県の公益通報委員会の一員だったようですから。

 

兵庫県の公益通報委員会は、形だけでほとんど機能していないというのが実態だったのではないでしょうか」

 

そして5月7日、県は独自の内部調査のみで、「核心部分が真実ではない」として、元県民局長を懲戒処分にしてしまう。

 

「Yさんは、4月4日に内部告発委員会に通報したわけですが、5月7日の時点では、まだ通報した内容の調査結果も出ていないわけです。結果が出る前に処分するというのは、通報者に対する報復であり、正当な公益通報者に対して、違法な制裁処分を下しているということになります」

 

つまり、これまでの斎藤県知事や片山前副知事らの行為は、公益通報保護法違反にあたる可能性が極めて高いのだ。

 

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出典元:

WEB女性自身

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