東京メトロ日比谷線の広尾駅2番線の電車の発車メロディが、任天堂の人気ゲーム「星のカービィ」の曲にしか聞こえないというXの投稿が話題になっている。
発端は9月6日、あるユーザーがXに投稿した広尾駅2番線で電車が発車する際に流れる音楽を録音した動画。明るく軽快な短いメロディだが、ゲームファンには聞き覚えのある曲だという。
それが「星のカービィ」で、カービィがボスを倒したときやステージをクリアしたときに流れる音楽と似ているというのだ。微妙に違うものの、確かに似ているこのメロディ。Xでも投稿者に共感する人が続出し、投稿された動画は1800万件以上再生されている。
《え、カービィだと思ってた!恵比寿がビールの曲だから、広尾もそう言う系かと》
《思ってた以上に想像以上にカービィで草》
《ステージクリア時の映像が頭に浮かぶ。 広尾はカービィのステージだった?(笑)》
《広尾駅通るたびにいつも思っちゃうこれ 違うはずなんだけどマジでカービィにしか聞こえない》
《脳内カービーが3匹で踊って回ってる》
広尾駅の発車メロディは、『希望の地へ』という曲名で、作曲家の松澤健氏が手がけたものだ。松澤氏は’17年には『マツコの知らない世界』(TBS系)に駅メロのスペシャリストとして出演している人物で、広尾駅のほかに丸ノ内線西新宿駅2番線の『ピアノマン』も手がけている。
広尾駅とカービィは何か関係があるのだろうか? 東京メトロは本誌の取材に対して「当社では発車メロディ導入の際には制作会社で楽曲・著作権の確認をしている楽曲を採用しております。特に関係性はございません」と、カービィとは無関係であると回答。
また、作曲家の松澤氏は、’20年に自身のYouTubeチャンネルで自身が手がけた日比谷線の発車メロディの制作過程に関する動画を公開しており、その動画の概要欄に《「希望の地へ」が既存曲に似ているというご意見を拝見し、この曲は本動画内の説明 2:03 〜の通りに制作したため全くの無意識でしたが、そのように思われる可能性に気づけなかったことは私の実力不足だと感じております》と説明しており、この類似はゲームファンの心をくすぐる“偶然の一致”だったようだ。
東京メトロは楽曲の導入経緯について、「駅の設備更新と合わせて日比谷線の発車メロディを制作会社へ依頼し、’20年度より、同駅にて導入しております」とコメント。また、「導入後、1件ですが、当社のお客様センターへお問合せをいただいております」とのことだった。
ちなみに、制作会社に発車メロディを制作依頼する際は、駅ごとにテーマやイメージなどを伝えて作ってもらうのだろうか? 発注の方法について聞いてみたところ、興味深い回答があった。
「日比谷線全駅の発車メロディを制作依頼しております。弊社からは北千住駅(下町)~都心(日比谷・霞ケ関)付近~中目黒(山の手)を走行しているといったエリアごとのイメージは伝えておりますが、各駅ごとのイメージは伝えておりません。
また、北千住→中目黒方面は曲調を早め、中目黒→北千住方面は曲調を遅めにとお願いしております」
奥深い発車メロディの世界。普段の移動時にも、耳をすませてみると新たな発見がありそうだ。