48歳、左半身まひの女性ファッションデザイナーが挑む「障がい者の人生を前に進める」靴づくり
画像を見る 病いに絶望するたび前向きになれる言葉をくれた両親、さりげなく手を差し伸べる夫、最愛の娘ら家族の存在が元気のもと

 

■“生きる希望”になってくれた愛娘 毎日のルーティンはキス&ハグ

 

母親としては、思春期の娘さんとの時間作りにも奮闘中。

 

「娘は中1で、ソフトボールとダンスに夢中。基本ママ好きな子なんですが、私はつい『こうしたほうがいいんじゃない?』と突っ込むおせっかいタイプだから(笑)、母子の議論も激しいです」

 

出産直後から、自身の入院などで、母子が離れる時間も長かった。

 

「娘を保育園に送ったあと、私が緊急入院となってしまい、娘が帰宅したら家にいないということがありました。それで寂しい思いをしたようで。小学校に上がるころに、娘と、朝のルーティンを決めました。『行ってらっしゃい!』と言いながらのキス&ハグ。

 

口げんかなどしたまま別れて、その後に何かあったら絶対後悔するじゃないですか。だからどんなに機嫌が悪くても、朝の見送りのときには互いに笑顔で挨拶するようにしています」

 

出産直後の発病だったが、最愛の娘がいたからこそ頑張れたのも、また紛れもない事実だ。

 

「最近は年ごろだからなのか、キスは『時短でカットね』と言われたのが、少し寂しいんですけど」

 

現在、ライルで対応している装具は小さめのものが中心だそう。

 

「数十種類あるうちの一部にしか対応しておらず、これからは、少し大きくてゴツめのものにも対応できるよう工夫したいです。ユニセックスデザインにも挑戦したい」

 

一人娘や、今も見守ってくれる実母、そしてブランドを手伝ってくれる夫にも支えられ、心のバリアフリーを成し遂げるために、布施田さんは今日も、人々の足元を彩り続ける。

 

(取材・文:堀ノ内雅一)

 

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