■Suica、PASMO決済を廃止せざるを得ないまさかの事情
同日の会見で、市民の利便性の低下について問われた熊本市長は、交通事業者のこうした決断は「苦渋の決断であった」といい、次のように事情を明かした。
「更新だけにかかる費用が12億円以上という、非常に高コストなもので、更新コストが異常に高いと言わざるを得ない」
なんと、全国交通系ICカードの決済システムの更新に、5社全体で約12億円の費用が必要になる見込みだと言うのだ。市長によると、12億円あれば新たに導入予定の「3両編成の市電が3編成買えるぐらいの金額」になるといい、経営悪化で運行自体に悪影響を及ぼすリスクを避けるためにはやむを得ないとの判断だという。
とはいえ、モバイル型も含めると全国共通交通系ICカードの利用者は多く、県民だけに止まらず県外からの利用者、さらにはクレジットカードを持っていない学生などにもストレスとなることは否めない。
熊本市長も会見で「12億以上も更新費用だけにかかるということは、一体どういうことなのか。正直に言って、大都市のシステム維持のために、地方にこれだけしわ寄せが来るような状況は、果たしていかがなものかと思っています」と苦言を呈し、今後は全国でも同様の自治体が出てくると指摘。今後は国で利用しやすい環境を整えていく必要があると訴えていた。
熊本県だけでなく、全国の地方自治体が今後直面する可能性のあるこの問題に、Xではさまざまな意見が上がっている。
《全国『どこでも』使えるってのがこの手のカードの売りじゃないんか》
《残念ながら地方の私鉄などでこのような事は広がっていくのではないでしょうか》
《交通系ICカードが時代遅れになりつつある可能性》
《これが日本のアホなところだよな。せっかく全国で使える統一した規格なのに、更新費用をバカ高くして維持できなくするの、完全にアホやろ》