■マスコミへの音声データ提供は「握り潰される可能性が高い」と苦言も
だがそのいっぽうで、“百条委員会を説得する”という方法は「思い当たらなかった」とのこと。また増山氏によれば、昨年10月25日に片山元副知事の証人尋問が行われた後、囲み取材で片山元副知事が発言しようとした際に、“私的情報に関わる”として記者陣が制止するという事態が起きたという。そのことを振り返りつつ、音声データを立花氏に渡した理由をこう明かした。
「普通で言ったら(片山元副知事に)発言をさせて、そこから必要か必要じゃないか、発表していいかどうかは記者が判断するべきだと思うんですけど。発言を止めるというのが前代未聞なことだと思って。私がマスコミの皆さんに(音声データを)提供したところで 、『これ握り潰される可能性が高いな』という風に考えました」
マスコミに苦言を呈した増山氏だが、立花氏については「結構メディアとして取り扱ってるというか、感覚 としてですよ。結構、発信力という意味ではあると思うので、そういう意味で立花氏に『こういう事実がありました』ということを教えたというかたちですね」と語っていた。
「県民の皆さんがこの情報を知らずに行動していいのか」との思いで、百条委員会のルールを破ってまで音声データを公開したという増山氏。動画のコメント欄では、彼の自白を聞いた視聴者から《増山議員の考え、行動を支持します》《人がなんと言おうと増山さんはよくやってくれた!貴方は立派な政治家です ありがとう》
と賛同する声が。
しかし斎藤知事の内部告発文書をめぐる問題では、元県民局長や竹内元県議が亡くなるといった痛ましい出来事も。増山氏による音声データの提供との因果関係は明白ではないが、竹内元県議は選挙期間中に過熱したSNSの誹謗中傷に悩まされていたといい、投開票翌日の昨年11月18日に一身上の理由で議員を辞職していた。
いまだ内部告発文書問題が終結していないなか、重大な事実を会見ではなく、YouTubeの生配信で明かした増山氏。一連の発言は各メディアでも取り上げられ、ニュースサイトのコメント欄やXでは批判の声も目立つ。また動画では笑顔を浮かべるなど、増山氏の振る舞いに緊張感が欠けていると感じた人もいた。
《SNSを利用して、相手を威嚇し世論を混乱させるお騒がせ立花に情報を無断で提供した行為は勿論、許される行為ではないが、もっと許せない行為が往生際も悪くこのように追い詰められてからはじめて自白するこの姿勢には只々、呆れるばかりだ》
《委員の身でありながら、情報漏洩。党や県の会見ではなく、ネットの動画配信で発言する。議員としての資質よりも、人間性の本質という意味でこの人のしていることは、本当に間違っていると思う》
20日、増山氏と岸口氏は百条委員の辞職届を提出し、議長に許可されたことが報じられた。今後、時間無制限の会見で説明責任を果たすというが、何を語るのか――。
