万が一の記入漏れで大損することも。申告は確実に(写真:asaya/PIXTA) 画像を見る

2月17日から確定申告が始まっている。

 

「『会社で年末調整があるから、会社員は関係ない』と思う人が多いかもしれませんが、会社員も確定申告をしないと払いすぎた税金を取り戻すことはできません」

 

そう話すのはファイナンシャルプランナーの高山一恵さん。

 

本来、会社員の年末調整は“仮の申告”だ。仮の申告が問題なければそのままでもよいが、多くの人が税金を払いすぎているという。

 

「会社員が本申告である確定申告をしないと損するポイントはさまざまありますが(表参照)、特に2024年は『定額減税』がキーワードです」(高山さん、以下同)

 

定額減税とは、2024年6月から実施された、1人につき所得税が3万円、住民税が1万円、合わせて4万円の減税措置だ。扶養家族の分も合わせて受け取り、もう終わったと思い込んでいたが……。

 

「会社が家族の情報を知らないために、適正に定額減税を受けていないケースがあります」

 

たとえば所得が1千万円を超え配偶者控除の対象から外れる人は、会社が配偶者の存在を把握していない可能性がある。また、定額減税は2024年12月31日時点の扶養家族を対象とするが、定額減税の実施後から2024年中に生まれた子どもは見落とされていることが多い。さらに、無職の子どもを会社が把握しておらず、減税対象から漏れてしまうこともあるそう。どうやって確認すればいいのだろう。

 

「源泉徴収票のなかほどの『摘要』欄に、所得税の減税額が記載されています。その額が(会社員本人+扶養家族の人数)×所得税の定額減税3万円と合えばOKです」

 

住民税の定額減税については「住民税の税額決定納税通知書」に記載がある。確認しよう。

 

減税が1人漏れていれば、4万円分の税金が“払いすぎ”だ。物価高で家計の厳しい昨今、こんな損はごめんだ。見つけたら、どうすればいいのだろう。

 

「今回の確定申告には『令和6年分特別税額控除』という欄(以下、特別控除欄)が新設されました。ここに所得税減税分の3万円×正しい人数を記載すると、所得税が再計算され減税が受けられます」

 

ただし、住民税の定額減税漏れには別途手続きが必要だ。自治体に問い合わせるといいだろう。

 

「特別控除欄には、e-Taxだと初めから記載があり問題ありませんが、手書き申請の場合は注意しなければなりません」

 

会社員でも確定申告をすることがあるだろう。その際、特別控除欄には正確な記載が必要だ。定額減税は終わったからと何も書かなければ、定額減税がなかったものとして再計算される。せっかくの減税を受け取れず、所得税の定額減税分を余計に払うことになる。

 

特別控除欄の記載漏れは住民税の定額減税には影響しないが、所得税分だけでも配偶者と子ども1人を扶養する3人家族の場合、3万円×3人=9万円の損失だ。

 

「もし記載漏れに気づいたら、訂正申告が可能です」

 

確定申告の期間中なら、申告書を作り直して再提出すればよい。

 

住宅ローン控除は1年目のみ確定申告が必要だ。新築の場合、住宅ローンの年末残高×0.7%が13年間、税額から差し引かれる。

 

「住宅ローン控除は減税額が大きいので、1年目の人は忘れずに申告してください。また、’24年入居分から借入限度額が変わっています。特に省エネ住宅ではない一般の住宅は、住宅ローン控除の対象外となりました」

 

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