■独自の法解釈を示した斎藤元彦知事
「体制整備義務につきましても、法定指針の対象について、3号通報も含まれるという考え方がある一方で、これは内部通報に限定されるという考え方もあります」
兵庫県が設置した第三者委員会で、告発者を探索した県の対応は公益通報者保護法違反と認定されたことを受けて、3月26日の会見で斎藤元彦知事がこのように述べた。
元県民局長の告発文書が公益通報者保護法における3号通報(外部通報先への公益通報)と判断されたことから、斎藤知事は、通報者の探索を禁じる法定指針が3号通報に及ばないという法解釈を示すことで、自身の違法性を否定しようとしたとみられている。しかし、斎藤知事が示したこの法解釈が問題視されている。
4月8日に、消費者庁は兵庫県の県政改革課にあてて「公益通報者保護法に関するご連絡につきまして」とメール送付。斎藤知事の見解を否定したうえで、「適切な対応」をとるように求めた。
さらに、4月17日、立憲民主党の川内博史衆議院議員の質問を受けて、消費者庁の審議官は「(公益通報者保護法の)法定指針におきましては3号通報に関する体制整備義務について規定している部分がある」と斎藤知事が紹介した“考え方”を否定。伊東良孝消費者担当大臣は「(県議会と第三者委員会の結論について)一定の納得をしなければならん」と答弁した。
しかし、斎藤知事は「消費者庁から一般的な法解釈としての指摘がされたことは大変重く受け止める」などと言うのみで、3月26日の会見で示した見解を撤回も修正もしなかった。
今回、開示された文書は、知事の「重く受け止める」発言をうけて、消費者庁が「公益通報者保護法及び法定指針の解釈に対し、兵庫県知事の認識に齟齬がないこと」を確認するために行った、5月14日の電話を記録した文書となる。
