■立憲の食料品0%案実現が最有力
一方、野党が連携して法案をまとめるシナリオも現実的だという。
「衆参両院で法案を通すためには、野党のほとんどすべてが組んで、多党連合を作らなければなりません。確かに野党ごとに減税率や減税期間、食料品など減税となる対象がバラバラですが、どこかで一致点を見つけてまとまらなければ、今回の選挙をした意味がなくなり、私たちの1票がムダになります」(有馬さん)
1票の重さは、前出の立憲民主のベテラン議員も痛感している。
「消費税減税をするという大枠は一致しています。選挙でも国民から支持されたわけだから、なんとしてでも成立させなければなりません。秋の臨時国会で法案を提出し、来年4月からの実施を目指します。実現性はかなり高いです」
そう自信をのぞかせる。それでは、各党の掲げた消費税減税案はどこまで現実的なのだろうか。
「まず新興勢力となった参政党は、段階的に消費税率を引き下げて廃止する方針。れいわ新選組は消費税を廃止するうえに、一律10万円給付を公約しています。
さすがに両党の消費税0%は財務省が許さないでしょう。いかに参政党が躍進しても、衆議院では議席が少ないため、大きな影響力を発揮することは難しいのではないでしょうか」(自民党関係者)
国民民主党は物価が安定して、実質賃金がプラスになるまで消費税を一律5%に、共産党は将来的には廃止を目指し一律5%にすることを公約に掲げた。前出の伊藤さんはこう指摘する。
「財務省は国民民主党の玉木雄一郎代表が大嫌い。元は財務官僚仲間であったのに、103万円の壁撤廃など、財務官僚が嫌う減税を実行するからです。同党が掲げる“一律5%”を受け入れるとは思えません」
もっとも現実的な減税案となるのは、立憲民主党と日本維新の会が掲げる“食料品0%”ではないかと、多くの専門家や政治家が予測している。
「両党とも減税率は同じですが、立憲民主は期間を1年、維新は2年と区切っています。
財務省としても、今回の選挙の結果を受けて、何かしらの消費減税をしなければ国民のガス抜きにならないと考えているはずです。
両党の案なら減税対象は食料品に限られているし、有期限で恒久的な減税ではないことから、受け入れやすい。立憲民主は衆議院にも一定の議席数を持っているし、野田佳彦氏と財務省は近いから、“食料品0%”で着地する可能性が高いと思います」(政治記者)
「新首相として有力視されている高市氏も、食料品のみ0%を公言しているため、消費税に関しては考えが一致します。
ただし、食品のみ0%となると税率のばらつきが起き、インボイス制度にも影響を及ぼします。しかも、それが1~2年の時限的な処置ならば、手間ばかりが大きくなるというデメリットもあります」(自民党関係者)
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