物価高、マイナ対応で医療機関が倒産ラッシュ…将来真っ先に「切り捨てられる診療科」とは
画像を見る 病院の経営を圧迫するマイナ保険証への対応(写真:共同通信)

 

■がん手術は2カ月待ち。救急医療も縮小へ

 

福島県在住の主婦(50代)は、こんな体験を明かしてくれた。

 

「今年4月、80代の母に乳がんが発覚。ところが、近所の病院からは『手術できる医師が1人しかいないので、緊急性の高い若い方から優先しています』と言われ、手術まで2カ月待ちを告げられました」

 

2023年に東京都内一等地に「インターパーク倉持内科日本橋」を開業したばかりの倉持仁院長が、都心部ならではの窮状を訴える。

 

「医療機器は日々進歩しており、医療の質を上げるためには、最新機器の導入が必須です。しかも都心は物価が高騰しており、建設費も駐車場代も、あっという間に2倍に跳ね上がっています。株式会社なら必要経費を顧客に転嫁できますが、医療機関では不可能ですし、都内も地方と同じ診療報酬。

 

本来なら急激な物価高に対応するため、国が調整をすべきなのですが……。社会保障費を削減するために、医療機関が潰れるのを待っているとしか思えません」

 

前出の上さんが、近い将来を予想する。

 

「まずは不採算部門の小児科が切り捨てられていくでしょう。内科の診療単価は1人あたり1万円ほどです。しかし子供の場合は手間がかかるのに、1人あたり4000~5000円ほどで、採算が取れません。9年で出生数が3割減の産科も危ない。また、どんなに工夫しても赤字になる救急も縮小され、救急車が行き場を失う事態は、現実的に起こりつつあります」

 

あなたの街からも、病院が次々に消えていく。

 

画像ページ >【写真あり】病院の経営を圧迫するマイナ保険証への対応(他1枚)

【関連画像】

関連カテゴリー: