有力候補といわれる2人(写真:共同通信) 画像を見る

「10月4日の自民党総裁戦は、5人が立候補しているため1回目の投票では勝負がつかず、決選投票までもつれ込む見通しです。小泉進次郎氏、高市早苗氏の一騎打ちになるという見方が多いです」

 

こう分析するのは、政治評論家の有馬晴海さんだ。

 

一般庶民が新総裁に望んでいるのは物価高で苦しくなった生活の支援策だ。有力候補のひとりである小泉氏は、物価や賃金の上昇に合わせた所得税の「基礎控除の引き上げ」を訴えてきた。

 

所得税の課税額は、手取りの収入から基礎控除を含む各種控除を引いた課税所得から決められている。課税所得が少なるほど、課税額は少なくなるのだ。基礎控除の額を引き上げると、課税所得が減ることになるので、課税額も減って手取りが増えることとなる。

 

これまで基礎控除の額は原則48万円だった。これに、給与に応じて変動する給与所得控除の下限額を加えた金額が103万円。年収103万円まではこの2つの控除を引くことで課税所得が0となり所得税がかからない。逆にこれをこえると、課税されるので「年収103の壁」という言葉が生まれた。

 

法改正によって、2025年12月から基礎控除が引き上げられ、年収に応じて変動するようになり、「103万円の壁」が撤廃された。基礎控除と給与所得控除の下限額の合計は160万円となり、年収160万円までは所得税がかからないように。小泉氏はさらに控除額を上げることを強く訴えてきたのだ。自民党の中堅議員はこう語る。

 

「国民民主党は控除額を178万円に引き上げる案を掲げています。おそらく小泉陣営の参謀である木原誠二さんが政策立案しているのでしょう。木原氏は国民民主党の玉木雄一郎代表と財務省時代の同期ですから、総裁選後の野党との連携、連立をにおわせた公約とも見てとれます」

 

■基礎控除の10万円の引き上げで年収500万円で1万5000円の減税に

 

はたして控除額をいくら引き上げるつもりなのか、小泉氏に具体的な引き上げ額を質問したが、期日までに回答は得られなかった。前出の中堅議員はこう指摘する。

 

「何の議論もしないまま、公約にしていますからね(笑)。そもそも国民民主党の178万円案はハードルが高すぎるので、小泉氏が新総裁になっても、せいぜい160万円台~170万円の間になるのではないでしょうか」(前出・中堅議員)

 

仮に“170万円”となった場合の金額をファイナンシャルプランナーの内山貴博さんが概算してくれた。

 

「’25年の新しい控除額から、さらにすべての年収で、基礎控除が一律で10万円引き上げられた場合を試算しました。年収500万円の人は年間1万4846円、手取りが増える結果に」

 

ただし、自民党の関係者はこう付け加える。

 

「小泉陣営の選対本部長は、財務相の加藤勝信氏ですし、そもそも小泉氏は財務省の反対を押し切るだけの力はありません。所得税控除の引き上げを行うにしても、低所得者のみを対象にするなど、限定的なものになる可能性も……」

 

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