「“サードプレイス”が見つかった」大バズリ中の“江戸走りおじさん” 職場で中年の危機に直面…50歳目前で気づいた“人生の転機”
画像を見る 「動画の動きを講座で実際にやると、笑ってもらえることが多くてうれしい」(写真:本人提供)

 

■バズが終わっても“江戸時代の走り方”研究はまだまだ終わらない

 

大場さんの今後の目標は大きく2つ。1つ目の近い目標は「東海道五十三次」を“江戸時代の走り方”で走りきることだ。

 

「江戸-京都間の約500キロを江戸時代の記録のように1人が3日間で走れれば理想ですが、例えば、160キロを3人で走るとか、もしくは東海道五十三次を53人で、昔の飛脚が各宿場ごとにリレーしていたのを再現するとか。方法は未定ですが、このプロジェクトは今進めている最中です」

 

2つ目の目標は、科学として“江戸時代の走り方”を未来に伝えることだという。

 

「今はまだ、私の個人的なオタク趣味の研究の範囲でしかないんですよね。でも今後、“江戸時代と現代で走り方が違うようだ”という認識が広まれば、例えば歴史学者や運動工学の専門家などが研究に参入して、実際はこんな風に走っていたということが明らかになるのではないでしょうか。そして、それが100年先まで続いて、私たちの子孫が長く楽に走ることができる“江戸時代の走り方”の技術を活用できるようになってほしいと願っています。

 

研究が積み重なっていく過程で、今私がやっている『江戸走り』はたぶん否定されると思うのですが、それでいいのです。恐竜の形態が近年でもアップデートされ続けているように、科学とは、仮説を立てて、第三者から検証され、修正され、証明していくプロセスです。大切なのは仮説を間違えないことではなく、事実を明らかにすることです。そしてそれが将来に残ってほしいなという風に思っています」

 

バックグラウンドに違わず、骨の髄までサイエンティストの大場さんは現在、大学の協力のもとモーションキャプチャーで動きを分析するなど、さまざまな方向から科学的に“江戸時代の走り方”の研究を進めているという。

 

「SNSでのバズは、あと1〜2カ月もすれば文化として消費されてしまうと思いますが、研究は続きます。世の中の人に『江戸走り』の存在が広まった勢いを冷静に活かして、今後の研究のチャンスに繋げられるように、地に足をつけて活動していきたいです」

 

「江戸時代の走り方を100年先の文化に残したい」と目を輝かせる大場さんの、“第2の研究人生”はまだ始まったばかりだ――。

画像ページ >【写真あり】取材中にチョコケーキを食べる大場さん(他5枚)

出典元:

WEB女性自身

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