■豪雪、地震、原発事故が重なると避難は不可能
避難を困難にさせる大きな要因のひとつが“豪雪”だ。県のホームページによると、平成以降の平均累計積雪量(一冬で降る雪の深さの総量の平均)は、4m65cm。
「除雪しながら避難することは不可能に近い。そのうえ、地震で道路が寸断されたら車両を走らせること自体困難です。それは、新潟県中越沖地震や能登半島地震でも証明されています」(佐々木さん)
原子力規制委員会が定める「原子力災害対策指針」によると、原発で重大事故が発生した場合、原発からおおむね半径30km圏内の住民に対して、“避難”あるいは“屋内退避”を求める、とされている。そのうち、“即時避難”となる5km圏内には約1万8000人が居住し、状況に応じて屋内退避や段階的避難を行う30km圏内には、約42万人が居住している。つまり、事故の状況によっては、この約42万人が避難を強いられる可能性がある。
「原子力災害の場合、ただ逃げるだけでなく、被ばくした放射線量をチェックするスクリーニングポイントが必要です。しかし、その数も足りていません。避難者の受け入れ先についても、住民の了解など十分に詰められていないのです」(佐々木さん)
原子力市民委員会の座長で龍谷大学教授の大島堅一さんも、「日本の安全基準には欠陥がある」と、こう指摘する。
「日本政府が原発政策の拠よりどころとしている国際原子力機関(以下、IAEA)は、原発の安全を5つの層で守る“多重防護”という考え方を示しています。1から4層は立地や設備など“技術の話”ですが、最後の第5層は住民を守るための避難計画という、いわば“最後の砦とりで”です」
ところが日本では、この最後の砦……つまり避難計画が、ほとんど検証されていません」
本来、原発の安全性を一元的にチェックすべき原子力規制委員会だが、「“避難計画”は審査の対象外」なのだ。
「つまり、自治体まかせで、安全性が担保されていないわけです」(大島さん)
“最後の砦”が機能しないとなると……。
「能登半島地震のように家屋が軒並み倒壊すれば、“屋内退避”ですら不可能。住民は、避難も屋内退避もできず、ただ被ばくするしかない」(大島さん)
この状態で、過酷事故が起きれば、その被害は計り知れない。
「柏崎刈羽原発で福島と同レベルの事故が起き、仮に風が内陸に向いたら、被害は比べものにならないくらい大きくなります。日本の人口の3分の1、あるいは半分近くに影響が及ぶ可能性だって、理論上は否定できません」(佐々木さん)
さらに、こんな最悪のシナリオも現実味を帯びてきている。
