自民党が示した公約には食品消費税ゼロの「検討を加速」と(写真:共同通信) 画像を見る

「突然の選挙だ」と驚いた人もいるかもしれませんが、実は、『女性自身』1月6日発売号の本連載で私は「年明け早めの選挙」、自民党は「2年間の食品消費税ゼロ」を選挙公約にすると予想していました。

 

そのころ選挙といえば、予算成立後の4月か6月、秋以降と予想する声が多く、私の意見は泡沫的な扱いだったと思います。ですが、私には年始早々の選挙を確信する3つの理由がありました。

 

1つ目は日銀の利上げです。日銀は2025年12月に政策金利を0.75%に引き上げましたが、これは「利上げは2026年1月」とする大方の予想を覆すものでした。

 

なぜ前倒ししたのか、1月に利上げできない理由を考えていて、「選挙だ!」とピンときたのです。

 

政策金利の引き上げは住宅ローンなどの利率に関わり、与党の選挙戦には不利に働きます。選挙を行うつもりなら、1月の利上げは政府が許可しないでしょう。ただし、次の金融政策決定会合は3月です。日銀は3月では遅いと判断し、選挙の時期を避けて2025年12月に利上げしたのだと思います。

 

2つ目は高市早苗首相の言動です。「早期解散・選挙」という前提で高市首相を見ていると、腑に落ちる点がいくつもありました。

 

たとえば、高市首相は就任直後、前回選挙での自民党の公約「2万円給付」をやらないと明言。ですが「年収178万円の壁」や「消費税」には明言を避けています。

 

その後、年収の壁を178万円に引き上げたことで、私は「やらない」と言わなかった消費税減税はやるのだろうと考えました。

 

また、年始は外遊する首相が多いなか、高市首相は公邸にこもりっきり。公明党との決裂を乗り越え、選挙に勝てる作戦を熟考したのでしょう。そして、食品消費税ゼロを決断したのだと思います。

 

3つ目は片山さつき財務大臣です。片山さんは財務省の主計官まで務めた元エリート官僚で、財務省の表も裏も知り尽くした人です。加えて、2009年の衆議院選挙で落選を経験し“国会議員は落選したらサル以下”という辛酸を忘れないホンモノの政治家です。

 

ですから、盟友である高市首相の「勝つための食品消費税ゼロ」に賛同し、協力を惜しみません。

 

食品消費税をゼロにするには、年約5兆円の財源が必要といわれます。その代替財源として、「租税特別措置・補助金見直し」でムダな補助金などを洗い出し、外国人に影響の大きい出国税やビザの手数料などの引き上げを進めています。5兆円をあらかた確保できる見通しを立てて、財務省の了承を取り付けたのでしょう。

 

いつの世も選挙の大義など後付けにすぎません

 

食品消費税ゼロについて「選挙は必要ない。国会で審議すれば実現できる」という意見があります。私もそう思いますが、選挙に勝ちたい政治家からすると、これほど強い切り札を選挙に使わない手はありません。選挙に勝ってこそ政治家、議員定数の過半数を得てこその与党ですから、高市首相は自民党巻き返しの切り札がもっとも有効に使える時期を狙っていたのだと思います。

 

2025年10月に就任した高市首相は、ガソリンの暫定税率廃止や年収の壁の178万円引き上げなどを次々と決断。女性初の首相であり「働いて働いて……」が新語・流行語大賞になるなど、内閣支持率が70%を超える人気ぶりです。それでも、就任直後の好感度は賞味期限が短いという危機感を持っているのでしょう。だからこそ今、選挙に踏み切ったのだと思います。

 

報道では選挙の大義を問う識者が多いのですが、いつの世も選挙の大義など後付けにすぎません。高市首相の言う「連立パートナーが日本維新の会に替わったこと、これまで公約になかった食品消費税ゼロの実施、なにより高市早苗でいいかを問う」が後付けだとしても、選挙の大義などそんなものです。

 

いっぽう、立憲民主党と公明党のタッグ「中道改革連合(以下、中道)」にも大義は見当たりません。中道の基本政策には「存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使は合憲」と明記。2015年以来、立憲民主党が掲げてきた「安保法制の違憲部分の廃止」は、公明党と組むためにかなぐり捨てた格好です。さらに「原発再稼働を容認」。原発ゼロ社会を目指していた立憲民主党はどこに行ったのでしょう。

 

私が忘れられないのは、野田佳彦さんが首相時代の2012年に、消費税を5%から8%、10%へと段階的に引き上げる法律を成立させたこと。消費税増税でどれだけ多くの人が苦しんだかと思うと、野田さんの責任は重大です。

 

消費税増税の張本人が持論を曲げ「恒久的に食品消費税ゼロ」などと掲げる中道は、自民党から「選挙互助会」と揶揄されても仕方ありません。ただ自民党が強く攻撃するのは大きな脅威を感じている証拠。私は「食品消費税ゼロを公約にした自民党が圧勝」と予想しましたが、この点は違うかもしれません。中道に合流した公明党支持者の堅固な組織力を思うと、選挙の行方は読めなくなりました。

 

消費税以外に目を向けると、高市首相はGDP比2%の防衛予算を2年前倒しで2025年度に達成しています。さらに、トランプ米大統領から非公式ながら防衛費をGDP比3.5%に増額するよう迫られているといわれます。元来“タカ派”の高市首相は、食品消費税ゼロで生活者に寄り添うイメージを装い、その裏で防衛増税を画策しているのかも。

 

私は戦争や防衛増税に反対です。戦争をする国には絶対にならないでほしい。国民を戦争に巻き込むことがもっともひどい“国民イジメ”です。また、東日本大震災での福島の恐怖を忘れず、原発ゼロに向かってほしいと思っています。

 

消費税だけに注目して、これらを忘れてはいけません。さまざまな自分の希望にもっとも近い政党を選びたいと思います。

 

いずれにしても、おじさんの政治はもう終わりにしたいですね。高市首相を全面的に応援するわけではありませんが、ほかの政党でも女性の政治家がもっと活躍してほしいと思います。

 

2月8日の投票日まであと10日余り。あっという間の選挙期間ですが、連呼されるスローガンの裏にある思惑を読み取って、選挙の行方を厳しく見守りましょう。

 

【PROFILE】

おぎわらひろこ

家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数

 

画像ページ >【写真あり】立憲と公明党のタッグで首相の勢いは止められるか(他2枚)

経済ジャーナリスト

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