■「図面すらなかった」万博突貫工事の実態
Aさんが現場に入ったのは開幕直前の昨年2月。担当したのはアンゴラ館の電気工事。五次下請けだった。知り合いの業者から「間に合わないから、どうしても」と懇願され、断り切れずに参加。「娘たちに、お父さんが携わったパビリオンだよ」と自慢したい気持ちもあったという。
「大変というレベルを超えていました。図面すらまともになかった。資料は英語や中国語で、その内容自体が間違っていることも多かった。何度も工事をやり直しました」
当初の人数では到底間に合わず、最終的には約20人を投入。連日の徹夜作業が続いた。だが、開幕に間に合わせるために必死で働いた代償として残ったのは、約4,300万円の未払いだった。
四次下請けの「一六八(いろは)建設」からは一部しか支払われず、その後の入金は途絶えた。さらに問題を複雑にしたのが、万博工事特有の多重下請け構造だった。
「本来なら、建築法に基づいて元請けに未払い分を請求できます。でも、その元請けがどこなのか分からなかったんです」
アンゴラ館の建設は、株式会社Noe JAPAN、吉択株式会社、株式会社大鵬、一六八建設へと発注が流れる複雑な構造だった。
しかも、Noe JAPANや吉択、一六八建設はいずれも建設業許可を持たないまま500万円超の工事に関与していたことが明らかになっている。さらに、一六八建設に到っては、経理担当者が1億2千万円を横領した容疑で書類送検されているのだ。Aさんはこう憤る。
「最終的にNoe JAPANが元請けだろうという話にはなりました。でも、その頃には『もう支払いは済んでいる』と言われた。責任の所在が見えないまま時間だけが過ぎて、最後は“支払い済み”にされたんです」
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