■「2億円トイレ」移設にさらに約1億円
さらに大屋根リングの隣へ目を移すと、万博開催中に通称“2億円トイレ”として物議を醸したデザイナーズトイレが残されていた。
「このトイレは、万博終了後に分解して譲渡する予定でした。でも、こうして引き受け手が決まらないものが残っています」
万博協会は閉幕後、施設を希望者へ“無償譲渡”する方針を示していた。建物そのものは無料でも、引き取り手が解体や運搬、再建築などの費用を負担しなければならないため、譲渡先探しは難航したという。
「万博の施設は仮設建築物ですから、別の場所でそのまま使えるわけではありません。移設するにはいったん解体し、移設先で使えるよう補強して再建築する必要があるんです」
そんななか、7月14日、大阪府がトイレの一部を引き取ることを決定した。河内長野市にある植物園「府立花の文化園」へ移設し、2027年春の供用開始を目指すという。
ところが、ここでも新たな公費負担が生じる。
「大阪府は、解体や運搬などの費用として約1億円の予算を計上しています。つまり、ここにもまた公費が使われるわけです」
しかも、“2億円トイレ”を丸ごと移設するわけではない。花の文化園の規模に合わせて縮小し、施設の一部のブロックだけを移築する計画だ。
「当然、移設しない部分をこのまま残しておくわけにはいきません。残された部分を解体するためには、また別の費用が必要になります」
約350億円を投じて造った大屋根リングを解体し、その一部を残すために、さらに費用をかける。約2億円を投じて造ったトイレは、その一部を移設するために約1億円をかけ、残った部分の解体にも費用がかかる――。
万博はすでに終わった。しかし夢洲を歩くと、その後始末と“レガシー”のために、閉幕後もなお税金が投じられ続けている現実が見えてきたのだった。
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