■「国という形を引き継ぐものは文書」
石垣議員がとりわけ問題視するのは、政府の政策についての“第一声”まで個人SNSから発せられかねないことだ。
「すべての投稿の時系列を追っているわけではありませんが、第一声がまずSNSになってしまっているようなところも、ないわけではないと思います。総理大臣という、日本に一人しかいない行政のトップが発信する以上、本来、SNSが最初であってはいけない。どういう意思決定のもとに、どういうエビデンスに基づいて発信されたのかが、後からきちんと分かる形であるべきです」
なぜ、そこまで「記録」が重要なのか。
「国家を構成する人間はどんどん入れ替わっていきます。だから、国という形を引き継いでいくものは文書であり、言葉なんです。国家としての意思決定の過程を、後々から検証できる形できちんと記録に残すことは、歴史を刻んでいくこととイコールだと思っています」
■「間違っていたので消します」では済まない
もう一つの問題は、投稿に誤りがあった場合の責任の所在だ。
「総理大臣である以上は、『高市早苗個人です』と言っても、やはり総理大臣の発信と見なされてしまいます」
財務大臣や日銀総裁の発言一つで為替や市場が動くこともある。政府の要職にある人物ほど、公私を完全に切り分けることは難しいと石垣議員は指摘する。
「『私個人の見解なので、間違っていたので消します』『信じたのはあなた個人の責任で、政府には何の責任もありません』というのは通用しないですよね。間違いがあったときに、どういう意思決定がされていたのかすら分からなければ、どうやって責任を取ることができるのでしょうか」
石垣議員は、政府の政策や行政に関する情報は、個人アカウントとは別に役職ごとの公式アカウントを設け、行政側が内容の正確性を確認したうえで発信する仕組みにすべきだと話す。
「行政の要職に就いている間は、個人のアカウントからいったん離れて、別途、公式アカウントをきちんと作る。少なくとも行政に関する情報発信は正確性が重視されますので、そこは分けるべきだと思います」
そして石垣議員は、現在の曖昧な状態が、政治への信頼そのものを揺るがしかねないと危惧する。
「SNS上の個人の見解である以上、鵜呑みにはできない。でも、ではどこで確認したらいいのか。首相官邸や内閣官房に問い合わせて、『総理はこう言っているけれども、これは公式の見解なのか』と確認しなければならないのか。行政のトップが個人アカウントで行政に関することを発信してしまうと、ファクトチェックの大元であるべき行政そのものが揺らぎかねない。それが一番の問題です」
総理の言葉を、誰が「公式」と認め、誰がその正確性に責任を持ち、後世の検証にどう残していくのか。そのルール作りが問われている。
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