成果強調2日後に「中国は同盟国」…元大使が解説 トランプ氏の掌返しで露呈した高市首相の“深刻な読み違え”と「日中関係は1945年に戻った」
画像を見る 昨年10月の訪日以来、トランプ大統領との親密ぶりをアピールしてきた高市首相だが(高市首相の公式Xアカウントより)

 

■高市首相の「台湾有事」発言で日中関係は1945年に戻った

 

そして孫崎さんは、今回の米中の歴史認識を考えるうえで、高市首相の台湾有事をめぐる発言が重要だと見ている。

 

1972年の日中共同声明で、日本は中華人民共和国政府を「中国の唯一の合法政府」と承認。中国側が「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部」と表明したことについて、日本はその立場を「十分理解し、尊重する」とした。同時に中国は、日本に対する戦争賠償請求を放棄している。孫崎さんはこう語る。

 

「1972年に日中は和解しました。第二次世界大戦をめぐる問題に一応ピリオドを打ち、新しい協力関係をつくろうとした。ところが、高市さんの台湾有事をめぐる発言は、その前提を根底から覆すものだったわけです」

 

その結果、中国側の視点では何が起こるのか。

 

「中国側から見れば、いろいろな合意を積み重ねてきたけれど、それを日本側が覆したわけだから、日中関係の起点は1945年に戻った、という論理になります。そうなると、中国が第二次世界大戦で日本と戦った“戦勝国”であるという位置づけが、これからの東アジアの秩序を考えるうえで、非常に重要になってくる。

 

そこに今回、トランプ大統領が乗ってきた。中国国民党軍を支援して日本軍と戦った米国人義勇航空隊『フライング・タイガース』にまで言及したわけです。つまり、当時の日本を相手に米中が協力したという歴史です。その構図をトランプがいま持ち出してきたことは、非常に重要です」

 

■「中国と戦う合理性がない」トランプ氏が見ている現実

 

では、なぜトランプ氏は中国との関係安定化を図るのか。孫崎さんが挙げる一つが、台湾海峡をめぐる軍事的な現実だ。

 

「戦闘機そのものを見れば、アメリカのほうが優秀かもしれない。しかし、戦闘機には飛び立つ基地が必要です。沖縄の基地が攻撃されれば、戦闘機が飛び立てなくなる。イデオロギー的に『中国と戦え』と言っていても、実際に戦えば非常に厳しい。場合によっては負けるということを、トランプも知っていると思います」

 

実際、米ランド研究所が2016年に公表した米中戦争に関する報告書でも、中国の軍事能力の向上によって、米国はもはや「迅速かつ決定的な勝利」を確信できず、戦争が長期化する可能性が指摘されている。そして、もう一つが経済だ。

 

「トランプが考えているのは、経済的にどう利益を得ていくか、ということです。軍事的に中国と戦うことには合理性がない。一方で、AIなどの経済分野では中国との関係から得られる利益があります」

 

実際、今回の米中首脳会談でもAIは主要テーマの一つとなった。習主席は「中米はともにAI大国だ」と述べ、両国による協力を呼びかけている。

 

■日本はどうすればいいのか「イデオロギーではなく数字を」

 

米中が対立を管理しながら関係の安定を模索するなか、日本はどうすればいいのか。孫崎さんが最も懸念するのは、日本経済だ。

 

「日本経済が復活するためには、世界最高水準の研究開発に接続していかなければなりません。ところが日本自身には以前ほどの力がなくなっている。その一方で、研究開発を強力に推進している中国と関係も切ろうとしています」

 

そして、これまで日本が前提としてきた考え方そのものが揺らいでいるという。

 

「非常に大きな問題は、『アメリカに追随していれば安全と繁栄が得られる』という従来の図式が崩れてきていることです」

 

だからこそ必要なのは、「中国が好きか嫌いか」という感情やイデオロギーではなく、冷静に“日本の利益”を考えることだと孫崎さんは訴える。

 

「外交というのは、相手の言い分と自分の言い分があって、その間でどう折り合いをつけるかを考えるものでしょう。相手の言い分を全部無視するというのは、外交ではない」

 

そして最後に、こう語った。

 

「イデオロギー的なことより、私たちはやはり『事実』を知らなければいけない。日中関係においても、こういう関係を取れば日本にどのようなプラスがあるのか、逆にこうすればどのようなマイナスがあるのか。それを客観的に把握する。そういう冷静な判断をしなければいけないと思います」

 

画像ページ >【写真あり】変わった握手!? 9月22日の会談でのトランプ大統領と高市首相(他6枚)

出典元:

WEB女性自身

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