■188億円を「成長戦略」の広報に
なかでも注目されるのが、政府広報費280.5億円のうち188.3億円が、「強く豊かな日本」投資枠に計上されていることだ。
政府は、AI・半導体、造船、量子、創薬・先端医療などの戦略分野を含む日本成長戦略の重要政策について、テレビや新聞、インターネットなど「あらゆる広報媒体」を活用して発信を強化する方針だ。
だが古賀さんは、成長戦略をPRすることと、実際に経済を成長させることは別問題だと指摘する。
「成果が出て、それを普及させるために広報するなら分かります。でも、まだどうなるか分からない段階で、『こんなすごいことが起きます』と夢のような絵を見せても、それで政策が成功するわけではありません。
そもそも成長戦略の成果が出るのは5年、10年先。それなのに毎年のように作られるのは、各省庁が予算を獲得する材料になると同時に、そのときの総理や大臣の実績としてPRできるからです。そういう意味では、成長戦略自体が政権の宣伝という側面を持っているんです」
■政府が巨大スポンサーになれば……
そして、古賀さんがもう一つ問題視するのが、政府広報費と広告会社、メディアとの関係だ。
「自由民主党には政党交付金などの資金が豊富にあり、以前から株式会社電通などの広告会社が広報に関わってきました。たとえば、『こうすれば高市さんの評判が上がる』『自民党の人気が出る』というふうに企画を提案するわけです。
今回、政府広報費がこれだけ増えれば、自民党のお金に加えて、政府のお金でも大規模なPRができることになります」
さらに、政府が広告会社にとって巨大な顧客となれば、メディアへの影響力が強まる可能性があるという。古賀さんは、テレビ朝日系『報道ステーション』のコメンテーターを務めていた当時をこう振り返る。
「電通が政府や自民党から多額の仕事を受けていれば、政府や自民党が直接言わなくても、広告会社を通じてメディアに影響を与えることができます。
実際、『報道ステーション』でも、選挙前に電通から『これはちょっとまずいんじゃないですか』という話が出ると、それが現場にも伝わり、選挙の政策論議などを扱いにくい雰囲気になる。政府に批判的な立場からモノを言うと『出すな』という圧がかかることもありました。これだけ広報予算が増えれば、そうした影響もさらに大きくなる可能性があります」
高市首相をめぐっては、総裁選や今年の衆院選でSNS動画をめぐる疑惑が報じられ、国会でも取り上げられてきた。
それだけに古賀さんは今回の大幅増額について、「普通だったら、あれだけ批判されれば『少し自粛します』『削ります』という話になるでしょう。それを堂々と『10倍にします』と。国民をバカにしているとしか思えません」と厳しく批判する。
約350億円は、現段階ではあくまで概算要求だ。
「過去にいくら使ってどんな効果があったのか、一つひとつ国会でしっかり追及し、必要がなければ削るべきです」
社会保障では国民に負担増を求める一方、広報には約350億円を投じようとしている。その必要性と使途について、国会で厳しい検証が求められる。
画像ページ >【写真あり】高市首相の宣伝アカウントとの批判もある「内閣広報官」の公式X(他7枚)
