■日本は米中“二つの肺”で呼吸している
なぜ、そうまでして中国とのパイプを残す必要があるのか――。有馬さんは、日本にとって米国と中国との関係は“二つの肺”のようなものだと表現する。
「日本は安全保障では米国と同盟関係にある。一方で、中国は隣国であり、経済的にも深く結びついています。いわば二つの肺で呼吸しているようなもの。片方だけでやっていくわけにはいかないんです」
理由の一つが、レアアースなど重要鉱物をはじめとする経済面での深い結びつきだ。有馬さんはスマートフォンを例にこう話す。
「100個の部品が必要なら、99個そろっていても、1個なければ完成しません。レアアースなどもそう。中国からの供給が止まれば、日本企業は製品をつくれなくなる。中国から見ても、日本の市場は大きい。政治で対立しても、『経済ではつながっていましょう』という関係を残す必要があるんです」
では、高市首相自身は水面下で中国との対話を模索してきたのか。
「していないと思います。むしろ動いていたら、党内から『二枚舌じゃないか』と信頼を失う可能性があります」
今後、関係改善へ舵を切ることも容易ではないという。
「いま方向転換したら、対中強硬路線の岩盤支持層が離れてしまう。高市さんは支持率を気にして、自分のスタンスにこだわった言動に徹しているように見えます」
一方、中国との経済関係がさらに悪化すれば、そのツケは国民生活に跳ね返ってくる
■中国は副首相まで出したのに…官邸は「コメント差し控える」
中国側が王毅外相、何副首相を岩屋氏との会談に送り出した一方、29日、木原稔官房長官(57)は岩屋氏の訪中を「民間経済団体の動向」とし、コメントを差し控えた。
有馬さんは、そこに高市首相のジレンマを見る。
「高市さんにとっても、中国との経済関係は誰かにつないでおいてもらわなければ困る。でも自分から岩屋さんに『中国とうまくやってきてください』とは言えない。弱腰だと思われたくないから」
そして岩屋氏の役割をこう表現する。
「中国との関係がゼロになれば、日本も中国も困る。政治的には対立していても、経済のパイプは残さなければならない。その『細い線』を岩屋さんたちがつないでいるんです」
高市首相自身は動きにくい。だが、中国との経済関係も壊せない――。“火中の栗”を拾った岩屋氏がつなぐ“細い線”は、冷え切った日中関係を動かす糸口となるのだろうか。
画像ページ >【写真あり】党内からも岩屋氏に批判が……岩屋氏を批判する自民党の元衆院議員のXでのポスト(他1枚)
