「死んだふり」は得策ではない…自宅で熊と遭遇した専門家が教えるNG行動と「黒い傘」を使った回避術
画像を見る 秋は熊被害が多い季節だ(写真はイメージです)

 

■人間を積極的に襲う危ない熊は2000頭に1頭程度

 

遭遇リスクが格段に高まるのが、山ぶどうやコクワ(サルナシ)といったツル系の実が自生している場所だ。旬を迎えるちょうど今頃の季節は熊にとって絶好の餌場となる。また、春先の山菜採りエリアも同様に危険が潜むため、爆竹を鳴らすなど事前の威嚇対策が欠かせない。

 

万全の対策を講じてもなお、襲われてしまった場合はどうすべきか。一般的に言われる「死んだふり」や「首を抱えてうずくまる」といった防御姿勢について、中山さんは「助かったとしても大怪我を負うリスクが大きい」と指摘する。専門家の知見を踏まえ、最終的には「戦う決意」が必要になることもあるという。

 

「襲いかかられたら覚悟を決めて応戦するしかない場合も。熊撃退スプレーやナタなどを常備していたことで、実際に反撃して生還した例は数多く存在します」

 

1970年(昭和45年)9月、北海道士別市で農業を営む武山藤吉さん(当時74歳)の事例がそれを物語っている。

 

山林で体長120キロほどのヒグマと遭遇した武山さんは、じりじりと後ずさりしたものの足を取られて転倒。お尻を噛みつかれた瞬間、必死に起き上がり持っていたカマを熊の額へ力まかせに打ち込んだ。刺さったカマにたじろぐ熊に対し、武山さんはさらに腰のナタを抜き、相手の顔面めがけて振り下ろした。予期せぬ猛反撃と、剣道四段である武山さんの「さあ来い!」という鋭い気迫に気圧された熊は、たまらず笹藪の奥へと逃げ去っていったという。

 

「弱気を見せると襲われますが、『こいつは一筋縄ではいかない』と思わせることが生存へのポイントです。この事件は奇しくも、日高山脈で大学生が襲われ3名が死亡した『福岡大学事件』と同じ日に起きていますが、ちりぢりになって逃げてしまった学生たちと比較すると、冷静な対応が生死を分けたという意味で、非常に対照的と言えます」

 

人間を積極的に襲う危ない熊は2000頭に1頭程度と言われており、基本的には熊も人間を恐れて99%は自ら逃げていく。しかし、ごく稀に非常に危険な個体が存在するのも事実だ。

 

過度な恐怖心が先行し、観光やアウトドアを控えてしまう動きに対して、最後に中山さんはこう呼びかける。

 

「過剰に恐れすぎて観光やキャンプを敬遠してしまうと、地域の事業者も疲弊してしまいます。熊と遭遇する確率自体は決して高くなく、出会ったとしても多くは先に逃げてくれます。必要以上に怯えるのではなく、正しい知識と準備を備えた上で、豊かな自然を楽しんでいただきたいですね」

 

(取材・文:インタビューマン山下)

 

【PROFILE】

インタビューマン山下

1968年、香川県生まれ。1992年、世界のナベアツ(現・桂三度)とジャリズム結成、2011年に解散。同年、オモロー山下に改名し、ピン活動するも2017年に芸人を引退しライターに転身。しかし2021年に芸人に復帰し現在は芸人、ライター、山下本気うどんプロデューサー、個人投資家、ファイナンシャルプランナーとして活動中。

 

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出典元:

WEB女性自身

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