■「“原潜発言”の裏にアメリカの世界戦略が…」
なぜいま、莫大な予算を投じてまで原潜が必要とされるのか――。小西氏はその背景に、アメリカの強い要請と戦域拡大のねらいがあるのではないかと指摘する。
「これまでの自衛隊の潜水艦による作戦行動の範囲は、東シナ海や日本海など『第1列島線』の内側に重点が置かれており、通常のディーゼル潜水艦で哨戒が可能でした。
しかし現在、日米で進められているのは、マリアナ諸島やインド洋に至る『西太平洋全域』へと戦域を拡大していく戦略です」
今年4月に防衛省が小笠原諸島へ防空識別圏を設定したことなどは「その一環とされる」という。
「中国の原子力潜水艦が太平洋に進出してくるのを阻止するため、米海軍の空母打撃群などと共同で、長期間・数カ月にわたって潜航・追尾し続ける作戦が必要になったんです。
だからこそ、長期間の潜航が可能な『原潜』でなければダメだという理屈なのです。日本を守るためではなく、アメリカの世界戦略の歯車として組み込まれているのが実態だともいえます」
小西氏は、原潜導入が持つ法的な問題点をさらにこう指摘する。
「原潜は長期間の潜航で他国の目鼻先まで接近できる兵器であり、専守防衛の範囲を超える『攻撃的兵器』そのものです。
さらに重大なのは、1955年の制定以来、原子力の利用を『平和の目的に限る』と定めてきた『原子力基本法』との衝突です。これを軍事用の潜水艦に転用するというのは、日本の原子力政策の歴史的な一線を越える暴挙であり、憲法違反です」
ところで、原潜は1隻あたり約1兆円という巨額のコストがかかり、部隊として運用するには「10兆円規模の予算が必要」とされる。
「防衛費をGDP比3.5%へと引き上げる大増額と、その財源として法人税増税などを政府は目論んでいるとされています。その背景には、原潜導入という莫大な軍事費を賄うという規定路線があるはずです」
今年12月に予定されている「安保3文書」の見直しでは「原潜導入に向けた研究開発・具体的検討」という文言を政府は盛り込み、「閣議決定などを通じて、国会での議論を経る前に既成事実化をねらっているのではないか」と小西氏は推測するのだ。
そしてこれこそが、《核兵器のない世の中》の実現を願われる愛子さまや、「再び戦争の惨禍が繰り返されぬこと」を願われる天皇陛下のご姿勢とは「真逆のこと」だと小西氏は憤る。
「高市首相は保守派としてのポーズを取りながら、その実、やっていることは皇室や国民が戦後守り続けてきた『非戦の誓い』を足蹴にして、戦争ができる国家への変貌を進めているかのようです。
愛子さまの切なる願い、天皇家と国民の不断の努力を平気で踏みにじるような、面従腹背と欺瞞を放置してはなりません」
画像ページ >【写真あり】米軍の戦略原子力潜水艦ケンタッキー。2023年7月、韓国南部釜山の海軍基地(他1枚)
